第46章 -大人-(虹村修造)
どうしよう…怒ってる…よね…
修造くんの部屋にただいま二人きり…
ベッドに座って脚を組み、
床に正座させられた
わたしを見下ろす修造くんの顔を盗み見る。
夜11時…合コンの帰り、
今日は実家に帰ると行って、
同じ電車に乗った修造くんとは、
まだ一言も話していない。
初めて参加した合コンは、
ただの合コンではなかった。
ただの合コンではない理由は二つ…。
一つ目は、合コン相手に修造くんがいたコト…
二つ目は…わたしが年を誤魔化していたコト…
合コンのお店は、オシャレなイタリアンバル。
お酒はもちろん飲まなかったけど、
今日は"20歳の大学生の檜原すみれ"として、
わたしは合コンに参加していた。
合コン中は初対面のフリをして、
修造くんとは、ほぼ喋らなかったけど、
修造くんが実家に帰るので、
必然的に一緒に帰るコトになり、
無言で…威圧感だけで、
修造くんちに強制拉致?されてしまった。
「で?」
「は…はいっ⁈」
思わず声が裏返ってしまう。
「なんであんなトコいたんだよ?」
「なんで…って…」
修造くんに片想いして早18年。
彼氏イナイ歴も18年。
修造くんに嫌われてはいないだろうけど、
妹の域は抜けられそうもない。
修造くん、彼女いたコトもあったし…
いい加減に修造くんのコトは諦めなきゃ…
そう思って、友達のお姉さんに頼み込んで、
合コンをセッティングしてもらった…
なんて、言えないっ‼︎
「彼氏が欲しいから…
合コンに行っただけだもん。」
嘘では…ない。
「…っ⁈あのなぁ?彼氏欲しいのはわかるけど、
なんで年誤魔化してまで行くんだよ?」
修造くんは一瞬ビクッとしたけど、
呆れてため息をつきながら、聞いてくる。
彼氏が欲しいコトを
理解してほしいわけじゃないのに…
「お酒は飲んでないもん!」
「んなの、ずっと見てたからわかってんだよ!
なんでわざわざ年誤魔化してまで、
酒飲むような合コンに行ったのかって
聞いてんだよっ‼︎」
「…っ⁈」
そんな怒んなくても……
「…わりぃ。」
わたしが固まってしまうと、
修造くんも息を整え、
バツが悪そうに謝ってくれた。
謝ってほしいわけじゃないのに…