第4章 -素直-(笠松幸男)★
「えっ⁈あ…っ。
……。
ありがとう。あったかい…。」
清瀬は急に赤くなったが、
それ以上は何も言わず、
オレのカーディガンを膝に掛けた。
つか…それでもけっこう冷えるよな。
あいつら、いい加減開けに来いよな…。
「これ、はおってろ。
部活のだけど…今日は着てないから、
そんな臭くねーはずだ…。」
オレはジャージの上を出して、
それも清瀬に渡した。
「大丈夫だよ。
もう十分あったかいし、
笠松だって部活後でしょ?
汗引いて風邪ひいちゃうよ。」
清瀬は立ち上がって、
ジャージをオレに返してきた。
「いーからっ!
ウチの部員のせいで
お前に風邪引かれても悪いだろ。」
我ながら…ヘタな言い訳だな。
素直に「お前が心配だ」と言えない。
「でも……。」
「つか、オレの話くらいで、
お前もこんな時間に体育倉庫来んな。
黄瀬だってあんなだけど、一応男だぞ?
何かあったらどうすんだよ?
危ねーじゃねぇかっ。」
清瀬のことが心配なだけなのに、
オレはついキツく言ってしまった。
ヤベ…今のは言い過ぎだよな…。