第4章 -素直-(笠松幸男)★
女は苦手だし、
今まではどうでもよかった。
オレがバスケ部だから、
バスケ部の奴に近づきたい女…
(特に今年は黄瀬がいるし…)
そういう奴は、オレに対して
不躾で遠慮がなかったが、清瀬は違った。
オレが女が苦手だとわかったら、
ムリに話しかけたりせず、
オレが戸惑っても、
いつもニコニコしてくれていた。
授業中、オレが聞いてなかったら、
さりげなく
ノートに答えを書いてくれたり…
教科書忘れて机をくっつけても、
むやみにオレに話しかけたりしないで、
3年間、ゆっくりオレと接してくれた。
そういう付き合いの中で、
オレは清瀬の優しさを日に日に感じていた。
オレの中では、
清瀬とはだいぶ話せる…
むしろ1番話せるのだが、
清瀬からしたら、
それでも少ないのかもしれないな。
「別に…減ってねーよ。」
「え…っ?」
「話すの…。
むしろ、おめぇとくらいだよ。
こんな話せるの…。
あと、調子悪くもないし、元気だ。」
「そっかぁ。よかったぁ。」
…っ‼︎
清瀬はやっと安心したように笑顔になった。
清瀬の笑顔は見たいが、
やっぱりオレは直視できない。
「クシュンッ。」
「大丈夫か?」
「うん。
なんか安心したら気が抜けちゃった。
黄瀬くんたち、
いつ開けてくれるんだろうね。」
最近急に涼しくなったしな…。
夜は特に冷えるし…。
つか…足っ‼︎
んな、短いスカート履いてるからだろっ!
さっき抱きつかれた時も思ったが、
制服のスカートってのは、
どうしてこうも短いんだ…?
気になってしょーがねぇ。
「ん…!ほら…っ。」
「笠松…?あの…。」
清瀬は不思議そうな顔して、
オレを見上げていた。
「寒いんだろ?
いーから、掛けとけっ。」
オレは着ていたカーディガンを
清瀬の足に掛けた。
「大丈夫だよ。
そしたら、笠松寒いじゃん。」
清瀬は返そうとしてきた。
「こっちの…
オレの目のやり場に困んだよっ。
いいから掛けとけっ。しばくぞっ。」