第4章 -素直-(笠松幸男)★
-現在-
そういうわけで、
オレは今体育倉庫に閉じ込められ、
しかも清瀬に抱きつかれている。
よろけた清瀬を抱きとめ、
そのまま座り込んでしまったので、
オレの足の間に清瀬がいる。
清瀬は押されたあと、
扉が閉められる音にビビったのか、
オレにしがみついていた。
オレの手はオレの横にあるまま…
清瀬に触れていない。
近すぎるっ‼︎
近すぎる以前の問題だろっ…
だ、抱きつかれてる…っ。
「き…き…清瀬っ‼︎おいっ‼︎」
だぁーーっ。恥ずいっ。
オレがビビってるみたいじゃねーか。
「ごめん。笠松…。でも…ごめん…。
もうちょっとだけ…。」
清瀬はオレから離れず、
むしろ抱きつく力が強くなっていた。
な、な、な、なんでだよっ⁈
「こ…怖い…。」
「…なっ⁈」
たしかに…
清瀬はさっきからちょっと震えていた。
オレは正直驚いた。
いつも明るい清瀬が…。
だけど…こんな夜に、
急に閉じ込められたら、そりゃ怖いよな…。
「ごめんね…ほんとに…。
笠松、女のコ苦手なのに…。
い、イヤだよね?」
…っ⁈
そんなこと…お前が気にするなよ。
つか、お前なら…。
オレは思わず自分の横にあった手を、
清瀬の背中に回し、
そのままギュッと抱きしめた。
「か…笠松…??」
「い…今だけ…。
怖いの落ち着くまでだかんなっ。」
か…顔見なけりゃ……
これくらいできる…。
「うん…。ありがとう。」