第39章 -映画-(宮地清志)
-映画館-
はぁ…ドキドキしたぁ…
何これ⁈どうしよう…
告白とかはされてないけど、
出てくるキャラとかなんか…
ウ…ウチとかぶる…
スクリーンの中では、
悠馬が自分の部屋で
何やら悩んでいるけど、
悩みたいのはこっちだよ‼︎
お…落ち着こう…。
映画だってば…お話…お話なんだから!
「「ぁ…っ」」
そう思って、
ジュースを取ろうとした瞬間、
同じようにジュースに手を伸ばした
清志と手が触れてしまい、
清志と同時に小さな声をあげてしまう。
「わりぃ…こぼさなかったか?」
清志がわたしの耳元で小声で囁いた。
「…っ⁈…うん。大丈夫…」
わたしはスクリーンの方を見たまま、
顔を動かさず、小声でこたえた。
え…映画館だから、小声は当たり前‼︎
顔近づけるのだって他意はない‼︎
聞こえやすいように言っただけなんだから‼︎
でも…そう思うのに…
ど…しよ…
わたし…顔…真っ赤だ…