第38章 -再会-(青峰大輝)
会社に着くと、
まだほとんどの人が来ていなかったが、
珍しく同期の美香がもう来ていた。
「すみれ、おはよう!
ねぇ、聞いた聞いた?」
「おはよ。聞いたって何をー?」
「今年の新入社員、
すんごいイケメンいるんだって!」
「へぇ。」
「それだけー?
すみれ、イケメン興味ないのー?」
わたしの反応に美香は不服そう。
「だって、イケメンでも、
もう年下すぎるでしょ?」
「目の保養になるから、
いてくれるだけでいいの♪」
「うーん…まぁ、それはたしかに。」
「でしょー?」
「檜原!ちょっといいか?」
「はい!」
課長に呼ばれたので、
美香は席へ戻り、
わたしは課長の元へ向かった。
「今日から、新入社員、
1人ウチの課に配属されるから。」
「…?はい。」
なんで始業前に、
わたしにそんなこと言うんだろ?
「で、新入社員のOJT担当、
檜原、おまえに頼むな。」
「え⁈わたしですか⁈」
「おまえももう経験重ねてるし、
他の奴らもおまえなら納得だと。」
…。
要は皆めんどくさいこと、
押し付けたいだけ…か。
「はい。わかりました。」
そんな心の中を吐露することはできず、
わたしは素直に返事をした。
「よろしくな。
入社式終わって、
午後一で席連れてくから、
さっそく仕事教えていいからな。」
「…はーい。」
もう‼︎安定の丸投げ…。
はぁ…まぁ、やるしかないか。
それから、総務の人が
首尾よくPCを設置していき、
わたしは新入社員のための
一通りの文房具などを用意した。
「檜原!」
そして、午後一、
課長が背の高い男のコを
後ろに引き連れて、
わたしの席まできた。
え⁈新入社員て男のコ⁈
わたしは勝手に女のコが
入るものだとばっかり思っていた。
「今日からウチに配属になる青峰だ。
青峰!こっちはおまえのOJT担当の、
檜原だ。」
「おーじぇーてぃ?」
…っ⁈⁈
「あぁ。OJTな。
キミの教育担当だよ。」
「ふぅん…ま、
よろしく…お願いします…」
課長にアホな質問してる新入社員…
青峰くんは…
わたしが探していた…
あの駅の王子さまだった。