第38章 -再会-(青峰大輝)
「ハンバーガーでもいい?」
そう言われ、マジバにでも
行くのかと思ったら、
小洒落たハンバーガー屋だった。
「んじゃ…コレ。」
オレは迷わずに
照り焼きバーガーを選んだが、
自分で行きたいと言ったくせに、
その女は散々迷っていた。
「どぉしよう…
照り焼きも捨てがたいし、
新しく出たアボカドチーズも…」
「…一口くらいならやるぞ?」
「…‼︎」
ハッとした顔をして、女はオレを見る。
「いいの?」
「…あぁ。」
「やったぁ‼︎」
パァッと笑顔になった
そいつの顔を直視できず、
オレは視線を逸らした。
結局、照り焼きバーガーと
アボカドチーズバーガーを注文する。
「あ!改めて…今日はありがとう。
あんな通勤時間に
誰かに優しくしてもらえるなんて
思わなかったから、すごく嬉しかった!」
さっきも思ったが…
恥ずかしげもなく、
よく素直に礼が言えるよな…。
「なぁ?」
「なぁに?」
「名前…」
「あ!名前言ってなかったね。
檜原すみれです。
普通の会社員やってます。」
すみれ…か。
「キミは?」
「ん?あぁ…青峰…大輝。」
「ダイキくんかぁ。どういう漢字?」
「”大きい”に…”輝く”で、”大輝”。」
「”大きな輝き”かぁ。
ステキな名前だね!」
オレの名前よりも、
すみれの瞳のほうが
キラキラ輝いていた。
「つぅか…」
「ん?なぁに?」
オレはキラキラした
すみれの顔を見てらんなくて、
話をそらした。
「いつも…走ってんのな。」
「え?」
「毎回すげぇタックル…くくっ…」
「う…ごめんなさい…」
オレは思わず笑いながら言うと、
すみれは頬を赤くして、
またオレに謝ってきた。
オレはその顔が可愛くて、
まだ見ていたくて、また笑ってしまう。
「もう‼︎そんなに
笑わなくてもいいでしょー?
それに朝はおじさんにぶつかった
勢いだったんだから…」
「ははっ…わりぃわりぃ。」
そうこうしているうちに
注文していたハンバーガーがきた。
小洒落てるだけあって、
プレートにオシャレに
盛り付けられていたが、
オレはプレートにあった袋に入れて
照り焼きバーガーにかぶりついた。