第38章 -再会-(青峰大輝)
「あ!朝の男のコ‼︎」
ぶつかった女が、目をまん丸くして
オレを見つめている。
ホンモノ…か…。
やべぇ…まさか本当に
もう一回会うとは思ってなかった。
「大ちゃん?知り合い?」
さつきがキョトンとして、
オレらの顔を見比べている。
「あ、朝もぶつかっちゃって、
転びそうなところを
彼に助けてもらったの。
まさか帰りもぶつかっちゃうなんて…
本当にごめんなさい。
でも、朝もちゃんと
お礼言えなかったから、
帰りに会えてよかったーー!
朝も今も…ほんとにありがとう!」
その女は、1人で一気に喋っていた。
「さつき…先帰ってろ。」
「ちょっ…大ちゃん⁈」
「いいから、帰ってろって。」
「(はは〜ん♡)はーい。」
さつきは女に会釈して、
先に帰って行った。
「あの…彼女さん…
一緒に帰らなくていいの?」
女は気まずそうに固まって聞いてきた。
「あん⁈彼女じゃねーよ!」
オレは間髪入れずに否定する。
「でも…」
「彼女じゃねーっつってんだろ?
家が隣なだけだって。」
この女に誤解されるのだけは嫌で、
必死に否定した。
「そうなんだ…。」
「「………。」」
会話が続かず、お互いに黙ってしまう。
「ねぇ?」
「ん?」
沈黙を破ったのは女のほうだった。
「ご飯もう食べた?」
「…⁈いや…」
「時間大丈夫だったら、
ご飯食べていかない?
2回も助けてもらったお礼に
わたし、ご馳走する♪」
予想外の女のことば…
どちらも定期範囲だったこともあり、
オレらはその駅で一度改札を出た。