第38章 -再会-(青峰大輝)
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はぁ…ったく。
せっかく話せるかと思ったのに…。
「大ちゃん、
今日部活出て偉かったねー。
どういう風の吹き回し?」
あいつ…あんな急いで行かなくても…
「大ちゃん‼︎大ちゃんてば‼︎聞いてるー?」
「あん?うっせぇなぁ。」
オレの横でさつきが
キャンキャンなんか言ってたが、
今はそれどころではない。
「もう!大ちゃんのバカー!
ハゲ!ガングロ‼︎」
「はっ⁈ハゲってなんだよ⁈」
「知らない‼︎ほら、おりるよー。」
乗り換えの駅…
朝あの女に会う駅だ。
いるわけねぇのに、
つい周りを見回しながら歩いてしまう。
いつも走ってるよな…。
あの女を初めて見たのは、
高校入ってすぐの頃。
あの時も…
やっぱりあの女は走っていて、
オレの腕にあの女の肩がぶつかった。
そん時も謝られて、
でも、すぐに走って行っちまったっけ。
それ以来、この駅に着くと、
ついあの女を目で探してしまう。
朝はよくすれ違う。
あの女を見つけると、
なぜだかいつも心がドキッとしていた。
今日は、さつきの言う通り
珍しく部活に出て自主練までしたので、
いつもより帰りが遅い。
初めてぶつかった時以来、
あの女と話をしたから、
今日は気持ちが、
高ぶっていたからかもしれない。
でも、今まで、その女に、
帰りには会ったことがない。
今日みたいな時間には、
尚更会うことはないだろう。
「あ!大ちゃん、
襟元になんか付いてるよ。」
「あ⁈」
…………ドンッ‼︎
「おわっ…」
「きゃっ…」
…⁈
さつきに言われて、
一瞬目線を前から逸らした瞬間、
勢い良く走ってきた奴にぶつかり、
思わずグイッとそいつを引き寄せる。
「きゃ…ごめんなさ……⁈あ…!」
…‼︎⁉︎
ぶつかってきたのは、オレが探してた…
朝のあの女だった。