第35章 -冬シチュ三部作③-(青峰/宮地/木吉)
「鉄平くんが両手に荷物持ってたら、
鉄平くんと手繋げないもん。」
…ギュ。
…っ⁈⁈
すみれがあいてるほうの手で、
オレの手を握ってきた。
ビックリしてすみれを見下ろすが、
すみれは下を向いていて、
すみれの表情まではわからない。
こういう時は、
この身長差を少しだけ恨む。
…‼︎
でも、やっぱりこの身長差は、
悪くないかもしれない。
手を繋いで黙って歩くすみれの耳が
真っ赤なのが見えたから。
「なんだか懐かしいな。」
「え?」
「子どもの頃は
いつもこうやって手繋いでたよな。」
「うん!」
ふと小さい頃を思い出し、
すみれに話すと、
ようやくすみれは少しだけ
オレに顔を見せてくれた。
「いつから…こうやって…
手を繋がなくなったんだろうな。」
すみれと繋いでる手に
ギュッと力を込める。
「…⁈鉄平くん…?」
「はは…いや、なんでもない。
今日は2人とも手が冷たいな。
ほら、家入るぞ。」
たぶん…いつのまにか
好きになっていたすみれを
本能で意識しすぎて
しまっていたんだろうな。
「おじゃましまぁす。
チキン、あっためるね。」
すみれは慣れたように
ウチの台所で準備を始める。
「あれ?鉄平くん、これ、おでん?」
「ん?おでん〜?
あぁ!すみれが来るって言ったから、
ばーちゃんが作ったのか!」
「ほんと⁈やったー‼︎」
「でも、クリスマスにおでんもなぁ。」
「なんで⁈わたし、大好き‼︎」
すみれらしいな。
結局おでんも一緒にチキンなどと並べた。
「なんだかコタツに並べると、
変な感じだな。」
「でも、やっぱりチキンがあるから、
クリスマスっぽいよ。」
すみれと並んでコタツに入る。
ウチでコタツに入ると、
必ずすみれは隣に来る。
オレはそれが好きだった。
「メリークリスマス♪」
「おう。」
すみれとジュースで乾杯した。
ニコニコしながら、
いろんな話を次から次へと、
オレにしてくれるすみれ…。
コロコロ変わるすみれから
目が離せない。
願わくばずっとすみれを見ていたい…