第35章 -冬シチュ三部作③-(青峰/宮地/木吉)
「そうだ。
すみれ、これ、オレからな。」
頃合いを見て、
すみれにクリスマスプレゼントを渡す。
「…⁈覚えててくれたの⁈」
「ん?当たり前だろ。
プレゼント交換したいって、
すみれが言ってたんだから。」
すみれはオレが
忘れていると思っていたのか、
ビックリしていた。
心外だな…。
すみれの願いを
忘れるはずがないのにな。
「ありがとう‼︎わたしもあるよ。」
でも、そんな気持ちは
すみれの一言で吹き飛ぶ。
「おう。ありがとな。
じゃ、一緒に開けるか?」
「うん!」
「「あっ‼︎……あははっ♪」」
開けた瞬間、2人で同時に笑い出す。
すみれからのプレゼントも手袋だった。
「同じだったな。」
「うん。同じだったね。」
オレがすみれに選んだのも手袋。
ここまで重なるとなんだか嬉しい。
「今日、2人とも手冷たかったしな。」
「そうだね。
鉄平くんは手が大きい分、
冷たいトコが人より多いんだから、
ちゃんとあっためないとね。」
すみれがニッコリして
オレを見つめてくる。
「あぁ。
じゃあ、オレの手があったまったら、
すみれの手をあっためてあげないとな。」
…ギュ。
「え…?」
すみれの表情とことばに、
オレは自然とすみれの手に
自分の手を重ねてしまう。
「すみれの手は小さいな。」
オレの手にすっぽり隠れてしまう
小さな小さなすみれの手…。
「えと…うん⁈鉄平くん…⁈」
すみれは戸惑ったままだが、
手をはなそうとはしなかった。
「…すみれ」
オレはそのまますみれを
見つめつづける。
「あ…‼︎ケ…ケーキ‼︎
わたし、ケーキ出してくるね!」
だが、すみれは慌てて立ち上がり、
台所へ行ってしまった。
ちぇっ…。
さっきまですみれの手を握っていた
自分の手を見つめる…。
焦りすぎ…か。
自分の行動に少しだけ反省をする。
「ケーキ食べよ♪」
すみれはまた笑顔になっていて、
ケーキを箱から取り出した。
「やっぱり可愛いね。
切るのがもったいなーい。」
「この天使…キスしてるんだな。」