第35章 -冬シチュ三部作③-(青峰/宮地/木吉)
-おまけ②-
-木吉鉄平×年下幼なじみ-
(木吉side)
クリスマス当日。
練習後、すみれと一緒に帰る。
すみれと一緒に帰るのなんて、
いつものことだが、
クリスマスの約束をしていると思うと、
いつもより浮かれてしまう自分がいて、
気がついたら表情が緩んでいたらしい。
今日は日向に何度もツッコまれた。
「何ケーキにする?
やっぱりショートケーキかな?
チョコがいいかな?」
「はは…すみれの好きなのでいいぞ。」
一緒に歩きながら、
すみれはどんなケーキにするか、
嬉しそうに一生懸命話していた。
「うわぁ…全部美味しそう!
大きなケーキがいいよね。」
「ん?でも、今日、
じーちゃんたちいないから、
2人分で大丈夫だぞ。」
「えっ⁈いないの?」
「あぁ。老人会の食事会だと。」
ケーキ屋に入ると、
さらに興奮していたすみれだったが、
じーちゃんたちがいないことを告げると、
一瞬すみれの表情が固まったのを、
オレは見逃さなかった。
2人きりは…イヤ…なのか…?
「すみれ?どうした?」
「…っ⁈」
少しでも落ち着いてほしくて、
すみれの頭をポンとする。
「あ…えっと…」
「さすがに全部はダメだぞ?」
「わかってるよ‼︎」
冗談のつもりで言ったのに、
すみれはプクッと
ほっぺを膨らませてスネていた。
その姿にオレは胸が高鳴ってしまう。
「あ!可愛い‼︎コレがいいな!」
しばらくして、すみれが
一つのケーキを指差した。
2人用の小さなホールケーキで、
ホワイトチョコが雪のように
ケーキ全体にかかっていて、
Merry X'masのプレートと、
天使が2人…。
あの天使…キス…してるな。
「あぁ。可愛いな。
じゃあ、それにするか。」
天使のキスのことは言わず、
そのケーキを買って店を出る。
予約していたチキンも受け取り、
家に向かおうとすると、
すみれがケーキを持つと言い出す。
まったく重くないし、
オレは大丈夫なのに、
結局すみれは
オレの手からケーキを取った。
すみれは優しいな。
だが、そう思ったのもつかの間で…