第3章 -理性-(宮地清志)*★
「ちげぇよ。あれはだな…」
ギュッ…。
突然、柔らかい感触がオレを包んだ。
ふたばがオレに抱きついていた。
「清志…」
泣きそうなふたばの声…
風呂あがりの甘い匂い…
柔らかい感触…
……………限界だ。
「いい加減にしろっ。轢くぞっ!」
「…っ⁈」
ふたばの目から涙がポロポロこぼれた。
なんでだよ…?
「お前なっ。もっと自分大事にしろよ!
そんな格好でお前に抱きつかれたら、
オレの理性持たねぇだろーがっ!」
「り…理性なんか…
持ってくれなくていいもん。」
泣いたままふたばが言う。
「い…いいよ。
清志がふたばのこと好きじゃなくても…
ふたばは…
初めては好きな人がいいもん。」
「おま…」
オレは思わずへなへな〜と
座り込んでしまった。
力が抜けた。
こいつはどこでどう勘違いしたんだ?
「あのなぁ…。
好きな奴相手だから、さっきから
理性保って頑張ってんだろ?」
「好き…??」
ふたばはポカンとして、
オレの前にぺたんとしゃがみ込み、
ことばの意味を考えているようだった。
「だって…教室で…」
やっぱり聞いてやがったな。
「1回しか言わねーぞ?」
オレは1回深呼吸をした。
「ふたばが好きだ。」