第35章 -冬シチュ三部作③-(青峰/宮地/木吉)
-木吉鉄平×年下幼なじみ-
クリスマス当日とはいえ、
誠凛バスケ部は今日も練習。
でも、鉄平くんとずっといられるから、
ぜんぜんイヤじゃない。
バスケしてる姿を見るのが、
1番好きだしね。
1日の練習が終わり、
いつものように鉄平くんと一緒に帰る。
今日はまた駅前を通り、
ケーキとチキンを買う予定だった。
「何ケーキにする?
やっぱりショートケーキかな?
チョコがいいかな?」
「はは…すみれの好きなのでいいぞ。」
そんな話をしながら、
2人でケーキ屋さんに入る。
「うわぁ…全部美味しそう!
大きなケーキがいいよね。」
「ん?でも、今日、
じーちゃんたちいないから、
2人分で大丈夫だぞ。」
「えっ⁈いないの?」
「あぁ。老人会の食事会だと。」
鉄平くんはサラッと言うけど、
わたしは一気に緊張してしまった。
こないだ…ホッペとはいえ、
鉄平くんにキスをして、
宣戦布告したけど、
(鉄平くんはわかってないけど…)
2人だけとか急に言われたら、
逆に意識しちゃうよ…。
鉄平くんの”妹”から抜け出したいのに…。
「すみれ?どうした?」
…っ⁈
わたしがボーッとしていると、
鉄平くんに頭をポンとされた。
「あ…えっと…」
「さすがに全部はダメだぞ?」
「わかってるよ‼︎」
はぁぁ…
やっぱりわたしが意識しすぎだ‼︎
これじゃあ、いつまでたっても、
鉄平くんの”妹”から抜け出せない‼︎
せっかく2人きりなんだから…。
そんなことを考えながら、
一生懸命ショーケースを見つめる。
「あ!可愛い‼︎コレがいいな!」
わたしが指差したのは、
2人用の小さなホールケーキで、
ホワイトチョコが雪のように
ケーキ全体にかかっていて、
Merry X'masのプレートと、
天使が2人…並んでいた。
「あぁ。可愛いな。
じゃあ、それにするか。」
ケーキを買ったあとは、
鉄平くんが予約しておいてくれた
チキンをお店で受け取り、
2人で鉄平くんちに向かう。
「ケーキ、わたしが持つよ!」
ケーキもチキンも、
鉄平くんが持ってくれていたけど、
わたしはサッと、
ケーキを鉄平くんから取った。
「これくらい大丈夫だぞ?」
やっぱり鉄平くんはわかってない。