第3章 -理性-(宮地清志)*★
「なんでウチで風呂入ってんだよ?」
オレはドア越しにふたばに話しかけた。
………。
返事がない。
「おいっ。返事しろよっ。轢くぞっ!」
「ウチのお風呂壊れちゃったの!
おばさんから聞いてないの?」
ふたばの声は少し怒っていた。
「はぁ?知らねぇよ。聞いてねぇ。
つか、いねぇし。」
「ウチの親と
今日から旅行だからでしょ。」
「はぁ⁈それも聞いてねーぞ。」
ドア越しにふたばの動く気配を感じる。
それだけでドキドキした。
「オレ、部屋にいるから。
話あっから、帰んじゃねーぞ。」
オレは部屋に戻った。
頭に思い浮かぶのは、
さっきの裸のふたばの姿だった。
頭から離れない。
『ヤッたのかなー?』
教室での佐川のことばを思い出す…。
オレ以外のヤツがあいつの裸を見て…
まさか…そんなこと考えらんねぇ。
トントントン…
階段をのぼってくる足音がする。
出たのか…。
ちょっと緊張してきた。
ガチャ…。
………⁈
「…っ⁈おま…っ。
なんで服着てねぇんだよ?」
部屋に入ってきたふたばは、
バスタオル1枚だった。