第31章 -電車-(青峰大輝)[前編]
-青峰side-
ガタンガタン…
はぁ…だりぃ…。
ガタンガタン…
つまんねぇ学校も終わったし、
帰って、またマイちゃんの
写真集でも…って…
”また”…か。
……。
マイちゃん、
新しい写真集出さねーかな。
ふぁ〜ぁ…
気の抜けたあくびをひとつ。
地元着くまで寝てぇな…。
車両の端の3人掛けの席が
2人分空いていた。
その席の端に座ってるのは、
小柄な女1人。
オレはその女と適度に距離をおいて
そこに座った。
ガタンガタン…
しばらくなんとなく窓の外を眺める。
小学校が見えた。
グラウンドでガキどもが
サッカーやバスケをしている。
そこで目を閉じるが、
すぐに駅に止まり、
オレの横におっさんが来た。
そのおっさんも小柄だったから、
まだマシだけど、オレはキツくて、
距離をとってた女のほうへつめ、
そのまま寝た。
・
・・・
・・・・・
んん…
やわやけぇ…
それにあったかい…
ギュ…。
なんだかわかんねぇけど、
その温もりを放さないように
オレは腕に力を込めた。
「んぁ…」
ゆっくり目を開けて頭をあげる。
オレ…電車だったよな…
今、どこだ…?
「きゃぁぁぁぁぁ‼︎変態っ‼︎」
「な…っ⁈はぁ⁈うっせぇ‼︎」
寝起きにすごいキーキー声を聞かされ、
唖然としてしまったが、
オレは思わず怒鳴り返した。