第25章 -純潔-(灰崎祥吾)★
つか、なんでコイツの番号……?
そういや、高校入ってすぐ、
勝手にオレの携帯に登録してたな…。
「…なんだよ?」
普段なら無視するが、
今日は予想外のコトが起きすぎる。
オレは石田からの電話に出た。
『灰崎か?』
「は?誰に掛けてんだよ?」
そっちから掛けてきておいて、
誰だか聞くのはおかしいだろうが。
『いや。久しぶりだな。』
「…用がねぇなら、切るぞ。」
『すみれちゃん…‼︎』
「あ⁈」
すみれ⁈なんでコイツが…⁈
『お前、今家か?
すみれちゃん、来てるよな?』
「なんでそんなこと
オレに聞くんだよ?」
お探しのすみれならココにいる。
つぅか、”来てるよな”って、
なんで、確信持って聞いてんだ…?
『はぁ…いるんだな。』
ため息をついた石田は
安心したように言った。
オレはまだなんも言ってねーよ。
『今日な、合コンだったんだよ。
すみれちゃんに頼まれてな。』
すみれに頼まれて…?
…そういうことか。
つか、あいつ…石田と仲良いんだな。
まぁ、いかにもマジメって感じで、
合ってるしな…。
黙っているオレにお構いなしで、
石田は話し続けた。
『すみれちゃん、モテてたぞ?』
……。
「わざわざそんなコト言うために
連絡してきたのか?切るぞ。」
切る…とは言ったが、
内心気になって電話を切れない。
『すみれちゃんに頼まれた合コンで、
すみれちゃんは1番人気があった。
でも、二次会には参加せず、
なぜかおまえの家にいる…。』
「終電なくなったんだとよ。」
『終電?
すみれちゃんが帰るときは
十分間に合ってたよ。
まぁ、いつもより飲んでたけどな。』
…っ⁈
クスクス笑いながら、石田が言う。
…なんか腹立つ。
『もう1回言うぞ?
すみれちゃんに合コンを頼まれた。
すみれちゃんは1番人気があった。
でも、すみれちゃんは……
おまえの家にいる。』
オレは何も言えなかった。
「…○○駅。」
『…っ⁈は…?何がだ?』
「○○駅の南口から出て、
コンビニの先のアパートの302。」
『…灰崎⁈』
「始発でいいから、来いよ?」
『来いって…⁈』
「あいつ迎えに来い!」
…ピッ。
オレはそのまま電話を切った。