第25章 -純潔-(灰崎祥吾)★
「祥吾くんはすみれに興味ないもん。」
水を一気に飲み干したすみれが言う。
ヴーーッ…ヴーーッ…ヴーーッ…
「はぁ…つか、なんなんだよ⁈
だいたい、終電逃すまで飲むなんて、
らしくねーんじゃねぇの?」
なんでオレが説教してんだ⁇
けど、それくらいしか、
すみれに言うことが思い浮かばない。
「いーじゃん、別にー。
飲みたい気分だったのーー‼︎」
ヴヴヴッ…ヴヴヴッ…ヴヴヴッ…
「つか、おめぇの鳴ってんじゃね?」
さっきから
スマホのバイブがうるさかった。
こんな時にかぎって、
オレのスマホは鳴らない。
「ん?」
ジーッと
スマホの画面を眺めていたすみれは、
暫く見たあと、
スマホをバッグに入れたが
バッグにちゃんと入っていなかった。
「…いいのかよ?」
「…うん。」
「男か?」
「男か女かって言ったら〜男♪」
…。
なんかムカつく。
つか、よく見たら、こいつ…
見たコトのない格好をしてやがる。
中のキャミが透けてるブラウスに
花柄のふわっとしたミニスカ。
ウチに来るときは
だいたいパンツなのに…。
「なんだよ?フラれたのか?」
フラれた腹いせで飲み過ぎて、
それでウチに来たってか…?
「ちが〜うもん。合コンだもん。」
「はぁ⁈」
合コン?コイツが…か?
なぜか心ん中がざわつく。
「合コンで
相手にされなかったからって、
ウチ来てんじゃねーよ。」
「そんなことないもん。
これでもわたしモテてたんだから〜♪」
は…⁈
「モテてた奴がお持ち帰りもされずに
別の男の部屋に来るのかよ?」
「モテてた奴は選ぶ権利があるの〜♪」
そう言ったすみれは、
とろんとしたままソファに寝転がった。
「おいっ!寝てんじゃねーよ!
泊めるとはいってねーぞ⁈」
「んん…っ…」
眠たそうに伸びをするすみれの
胸元や太ももが気になった。
思わず手を出しそうになるのを、
らしくもなく、必死で堪える。
〜〜〜〜〜〜♪
今度はオレのスマホが鳴った。
おっ♪コレでこいつを
追い出す理由ができた。
電話の相手を女と決めつけて、
スマホを取った…が、
またもや、予想もしなかった相手…
「石田」
と、スマホの画面に表示されていた。