第24章 -彦星-(虹村修造)★
部室の近くまで行くと、
バスケ部の部室に
明かりがついているのが見えた。
修造しかいないと言っていた
赤司くんのことばを信じ、
わたしはバッグからある物を取り出す。
修造、ビックリするだろうな♪
修造がドアに
背を向けていますように…。
そう願って、
そーっと部室のドアを開ける。
パンッ!!
「うわぁぁぁっ⁈」
…っ⁉︎
「きゃああっ‼︎」
ある物とはクラッカー。
修造をビックリさせることには
大成功したけど、
わたしのほうが
ビックリさせられてしまった。
「ひかり⁈⁈」
部室の中にいたのは、
たしかに修造1人だったけど、
修造は着替え途中だったらしく、
上半身ハダカだったのだ。
まったくの予想外で、
わたしのほうが
大きな声で叫んでしまい、
ヘナヘナ〜と座り込んでしまった。
「しゅ…修造っ‼︎
ハダ…カ…えっと…」
「着替えてたんだから当たり前だろ?
つか、なんでこんなトコに…
大丈夫か?」
修造がわたしの手を取り、
立たせてくれた。
「ありがと…。」
…っ⁈
どうしよう⁈
男のコの着替え…
部活中に見たコトはあるし、
慣れてるつもりだったけど、
好きな男のコのハダカは…
やっぱり違うよ。
「しゅ…修造っ!服っ‼︎」
「…♪まだ汗引いてねーし。」
「うそつきー。」
汗はとっくに引いてるし、
さっき手に
ワイシャツ持ってたくせに〜。
「あん時の逆だな♪」
…っ⁈
付き合う前…1度修造にココで
着替えを見られたコトがあった。
「もうー。それは忘れてってば!」
「今日もまた
逆パターンしてもいいけど?」
そう言って修造がニヤッとする。
「しーまーせーんっ!」
わたしが真っ赤になって拗ねていると、
修造は笑っていた。
「つか、ほんとにどうしたんだよ?
こんな時間に部室に…」
あ…大事なコトを忘れていた。
「お誕生日おめでとう!」
「え…?つか、それは電話で…」
「…直接言いたかったんだもん。」
修造が1年生のときは、
修造のお誕生日過ぎてから、
修造を意識するようになった。
去年はメールでしか
お祝いできなかった。
だから、今年はどうしても
直接会ってお祝いしたかった。
織姫と彦星が叶えてくれた。