第21章 -大雨-(高尾和成)
-高尾side-
はぁ…。落ち着かねぇ。
少しだけ聞こえるシャワーの音…
いくら手ぇ出すつもりはなくっても、
この状況は男には酷っしょ〜。
ガチャ。
「先にゴメンね。ありがと。」
…っ⁈⁈
「…っ⁈…お…おぉ…。」
酷な状況がさらに追加。
濡れた髪のすみれが
民宿の浴衣を着て出てきた。
「どうしたの?」
「いや、それ…」
「あっ。その…っ…
服濡れてるし、コレしか…」
はぁ…。そりゃそうだよな。
民宿の着替えっつったら、
浴衣しかねぇよな。
「いや、いんじゃん?エロくて(笑)」
「な…っ⁈バカッ‼︎‼︎」
「な〜んてな♪
オレもシャワー浴びてくるわ。」
オレはすみれを見てられなくて、
風呂場に逃げた。
中に入り、
思わずそのまましゃがみこむ。
はぁ…落ち着けよ、オレ…。
…っ⁈
そう思ったのもつかの間、
しゃがんだオレの視線の先に、
ピンクのブラが落ちていた。
はぁ…⁈なんでだよ⁈
上を見ると、すみれの
濡れた服が干してあった。
何も掛かっていないハンガーが1つある。
落ちたのか…って…
すみれのヤツ…ノーブラか⁈
…っ⁈
オレの決意に反して、
いちいち反応する自分のソレに
嫌気がさす。
オレはあまり見ないようにして、
落ちてたブラを掛け直し、
熱いシャワーを浴びて
気持ちを落ち着かせた。
「は〜気持ちよかった♪」
気持ちを整えて風呂場から出る。
「…っ⁈」
「ん?どした?」
すみれはオレから目をそらした。
そんなにイヤかね〜。
オレは苦笑いしながら、
布団を敷いてその上に座った。
「はぁ…どぉすっかな…」
明日の練習、間に合うかな〜
つか、寝れるのか⁈
「な…なにが⁈」
「ん?これから☆テレビでも観っか?」
「えっ⁈」
ん?オレ、変なコト言ったか?
「とりあえず今日は語り明かすか!」
オレは自分の横をポンポンとして、
すみれを呼んだ。
色々気にしてもしかたねぇ。
いつもみたいにするのが1番だよな!
って、オレが決意してんのに、
すみれは布団の前で固まっていた。