第21章 -大雨-(高尾和成)

-すみれside-


「どした？」


ニカッといつもの笑みを浮かべ、
和成が不思議そうにわたしを見る。


「あ…えと…」


「…はぁ。言ったろ？
Hしに来たわけじゃないんだから、
そんな緊張すんなって♪な？」


和成が優しい目をして言う。


和成が優しいのは嬉しいけど、
優しければ優しいほど、
和成はわたしを女のコとして
見ていないコトを
また実感してしまう。


「和成は…わたしと2人きりでも
なんとも思わない…？」


落ち着いていて、
いつもとまったく変わらない和成を
ジッと見て聞いてみる。


「なんともって…？」


「その…いつも通り…だから…」


「なんで急にそんなコト聞くんだよ？」


「なんか…
わたしばっかり焦ってて
バカみたいなんだもん。」


「は⁈いつも通りなわけねーじゃん！
ただでさえ、緊張してるっつーのに。」


え…？緊張…？和成が…？


「すみれはさ、
オレのコトなんだと思ってるわけ？」


「えっ⁈」


突然和成がわたしの手を握った。


「友達？ただの幼なじみ？
1つの部屋で好きな女と2人きりでも
ぜんぜん平気なチャラいヤツ？
こんな状況で平然としてられる
超人だとでも思ってるわけ？」


「かずな…り…？」


和成のことばにビックリしたけど、
和成の手を振りほどけなかった。


「か…和成は…わたしのコト、
女のコだと…
思ってないのかもしれないけど…」


グイッ…‼︎


「きゃ…っ。」


突然和成に引っ張られ、
わたしは和成に抱き締められていた。


「だーかーらー‼︎話聞いてた？」


ギュ…


さらに強く和成に抱き締められる。


「好きな女の前だから強がってんの！
すみれ、ガチガチだし、
少しでも安心してほしかったし…。」


「和成…」


わたしは和成を見上げた。


「…好きなんだよ。」


「…っ⁈」


「って、おい‼︎なんで泣くの⁈
すみれ〜っ⁇」


わたしは思わず泣いてしまった。


「う…嬉しくて…」


「…っ⁈それって…」


「わたしも和成が好きだよ。」


満面の笑みで和成を見上げた。


色々不安になってたけど…
和成の気持ちを聞いて、
わたしは心底安心していた。