第21章 -大雨-(高尾和成)
-高尾side-
「おっ!高尾っ‼︎ちょうどいい。
檜原と買い出し行ってくれ!」
「「は…っ⁈」」
大坪さんとすみれが話してる横を
通るとき、大坪さんに声を掛けられ、
オレとすみれは思わずハモって
抵抗してしまった。
「はは…。息ピッタリだな。
じゃ、頼んだぞ?」
「ちょっ…マジっすか⁈大坪さんっ‼︎」
大坪さんにそう言われ、
イヤそうにしてみるが、
”息ピッタリ”と言われると、
悪い気もしない。
「はぁ。和成、いいよ?
わたし、1人で行けるから。」
そんなオレの気持ちに
これっぽっちも気づかないすみれは
今日も一段とそっけない。
「は⁈なんでだよ?
つぅか、行かなかったら、
オレが大坪さんにドヤされる。
ほら!さっさと行くぞ!」
つか、このリスト分、
すみれ1人じゃムリだろ…
「え…⁇あ…うん。」
ちょっと驚いて頷くすみれは、
意外に素直で可愛かった。
コレがデートならなぁ。
ま、コレもデートみたいなもんだよな♪
「何やってんだよ⁈置いてくぞ〜‼︎」
「ちょっ…待ってよ!」
オレは1人でテンションをあげた。
「はい♪遅れたから、
すみれがオレにアイス〜♪」
「な…⁈」
「チョコのヤツなぁ♪」
「買うなんて言ってない〜!」
「いいじゃねぇかよ♪
オレとアイス食べられるなんて、
幸せだろ〜っ♪ギャハハッ(笑)」
すみれとのこんなやり取りも
オレは好きだった。
「は⁈アイスなら、
裕也先輩と食べたいよっ!」
だけど…
すみれのこの一言が、
オレの心臓をグサッと刺す。
いつもいつも”裕也さん”…
すみれは裕也さんには
いつも素直で可愛らしかった。
オレと帰ってても、
よく裕也さんの話するし…。
別にすみれと裕也さんが
付き合ってるわけでもないのに、
オレは1人モヤモヤしながらも、
買い出しに付き合った。
やっぱりけっこうな量になり、
オレは荷物を全部持った。
こんな大荷物、
すみれに持たせるのは酷だしな。
だけど…なんでだ⁈
突然の大雨で、
オレたちは
帰れなくなってしまった。