第21章 -大雨-(高尾和成)
-すみれside-
「けっこうな量だな…
檜原、1人じゃムリだろ?
一緒に行くか?」
秀徳バスケ部合宿真っ最中…
思いのほか足りない物があり、
大坪さんと買い出しリストを
最終確認していると、
その量の多さに
大坪さんが心配して言ってくれた。
「大丈夫ですよ〜♪
どうにかなりますって♪」
大坪さんは優しいなぁ。
「おっ!高尾っ‼︎ちょうどいい。
檜原と買い出し行ってくれ!」
「「は…っ⁈」」
ちょうど通りかかった和成に
大坪さんが声を掛けたが、
わたしと和成は
ハモって抵抗してしまった。
「はは…。息ピッタリだな。
じゃ、頼んだぞ?」
「ちょっ…マジっすか⁈大坪さんっ‼︎」
大坪さんは笑いながら行ってしまった。
「はぁ。和成、いいよ?
わたし、1人で行けるから。」
和成と行くとうるさいしなぁ。
「は⁈なんでだよ?
つぅか、行かなかったら、
オレが大坪さんにドヤされる。
ほら!さっさと行くぞ!」
「え…⁇あ…うん。」
…?
なんで急にやる気出してるんだろ。
でも…部活の買い出しだけど、
買い物ってちょっとデートみたい…
…って、違う違うっ‼︎
ただの買い出しなんだし…。
「何やってんだよ⁈置いてくぞ〜‼︎」
「ちょっ…待ってよ!」
ヤバイヤバイ…。意識しすぎ…。
「はい♪遅れたから、
すみれがオレにアイス〜♪」
「な…⁈」
「チョコのヤツなぁ♪」
「買うなんて言ってない〜!」
「いいじゃねぇかよ♪
オレとアイス食べられるなんて、
幸せだろ〜っ♪ギャハハッ(笑)」
「は⁈アイスなら、
裕也先輩と食べたいよっ!」
こんな軽いコト言う奴が、
なんでモテるのかわからない‼︎
「あいつら…いつ行くんだ?」
「大坪さん…頼む奴、
間違えたんじゃないっスか?」
大坪さんと裕也先輩が
そんな会話をしていたなんて、
わたしは知る由もなかった。
まぁ、どうにか出発して、
買い出しも終え、
なんだかんだ重い荷物は
全部和成が持ってくれた。
でも…
でも………
なんで⁈
和成か重い荷物持つとか、
珍しいコトしたから⁈
突然の大雨で、
道が規制されてしまい、
わたしたちは
帰れなくなってしまった。