第2章 -百合-(氷室辰也)★
前半が終わった。
点差はあるが無得点ではない。
選手の皆も誰も諦めている人はいない。
ハーフタイム、
ドリンクを出したり、
マッサージをしながら、
皆の熱気を感じていた。
それにしても…
辰也くんのプレイはすごかった。
動きが綺麗で動きにムダがない。
バスケの試合のはずなのに、
辰也くんに見惚れてしまい、
辰也くんだけを
目で追ってしまう時があった。
ダメだ…。
今は辰也くんのことじゃなくて、
試合に集中しないと…。
ゆりな
「香山先輩!肩…赤いですよ!
またムチャして…。」
香山先輩の肩が少し腫れていた。
香山
「あ?こんくらい大丈夫だよ。」
ゆりな
「ダメです!
タオル濡らしてきます。
後半始まるまで
氷入れて冷やしましょう!」
わたしは体育館の外の水道へ行った。
タオルを絞って戻ろうとした時、
陽泉の女のコたちの
会話のあることばに、
わたしは動けなくなった。
陽泉女子
「氷室くん、やっぱりかっこいいね〜。
百合、告白しちゃいなよ!」
百合
「ムリだよっ。」
”ユリ”…?
陽泉女子
「大丈夫だよ〜。
百合、最近氷室くんと
だいぶ話せるようになったし、
百合、可愛いもん!
氷室くんと百合なら美男美女だって!」
百合
「ちょっ…やめてってば。」
ユリと呼ばれた女のコは、
真っ赤になっている。
小柄で可愛らしい女のコだった。
ユリ…。
あの時辰也くんは咄嗟に出た
好きな花の名前だと言っていたけど…
このコのことだったんだ…。