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〜Mint Candy Story〜

第2章 -百合-(氷室辰也)★


-氷室side-



試合中、当たり前のことだが、
秋田東を懸命に応援する
ゆりなの姿が目に入る。


オレを応援してほしい…。



「室ちん。今日調子いーねー。」


「そうかな?いつも通りだよ。」



たしかに調子はいい…。
自分でも感じるが、
アツシは半分からかうのも入っているな…。



秋田東のマネージャーは
ゆりなしかいない。



オレが話したコがどのコなのか、
アツシはわかっているのだろう。



後半に入ってもオレは調子がよかった。


アツシは、
後半出るのをやめてしまったが、
試合はウチの圧勝だった。



ゆりなに悪いような…
でも、手は抜けないし、
オレの負けるところなんか
見せたくなかった。



自分のベンチからゆりなを探す。



ゆりなは忙しそうに
ドリンクを出したり片付けたり、
バタバタしていた。




「あー。いーなー。アレ、なんだろう?」



突然、秋田東のベンチを見て、
アツシが羨ましそうに言った。


アツシの声にその場にいた皆が
秋田東のベンチを見た。



「何かお菓子食べてるみたいアル。」


「だよねー!」



たしかに何かお菓子のようなものを
ゆりなが皆に配っていた。



「室ちん!あのコでしょー?
もらってきてよー。」


「いや、それはいくらなんでも…」


「なんだよ、氷室、知り合いか?」


アツシのことばに福井さんが
不思議そうに聞いてくると、
アツシはすかさず答えた。


「室ちんが一目惚れしたコ〜。」


「「はぁっ⁈」」


「氷室でも一目惚れとかあるのかよ⁈
ウケる!」


「一目惚れしなくてもモテるのに、
わざわざ一目惚れアルか?」


二人同時に笑い出し、
これでもかとからかわれた。



……っ⁈
こ、こんなにからかわれたことが
今まであっただろうか…。



「おっ♪紫原、氷室から奪う気か?」



福井さんの声に振り向くと、
アツシはなぜか、
秋田東のベンチに向かっていた。

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