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〜Mint Candy Story〜

第20章 -年上-(黄瀬涼太)**★


「オレも随分買われたもんだなぁ。
黄瀬くんは…
如月が泣いてた理由は聞いた?」


オレが首を横に振ると、
青柳さんは話してくれた。


「オレがあんまり言うのもなんだが…
あいつな、大学生の頃から
付き合ってた奴がいたんだよ。
”亮太”って奴…。」


…っ⁈


あの時の違和感がやっとわかった。


初めてオレの名前を聞いたとき…
頑なにオレのコトを
”涼ちゃん”と呼ぶこと…
酔ったときに呼んだ名前…


「結婚すると思ってたんだけどな。
実際そういう話も出てたみたいだし。」


「結婚⁈」


「あぁ。でも、ここ何年か
あいつ仕事忙しくて…
昇格したりプロジェクト任されたり。
でも、逆に亮太…あいつの元カレな。
そいつは仕事が
うまくいってなかったらしくてな。」


青柳さんはそこで
新しい煙草に火を付けた。


「まぁ…つまり…
すれ違いと……男の嫉妬だよ。」


「…?」


「その亮太っつぅ奴が浮気したんだよ。
しかも、その浮気相手妊娠させて、
来月、結婚だとよ。
まぁ…あいつはフラれたってわけだ。」


「な…っ⁈」


そんなコト…⁈⁈


しずかっちは…
オレなんかよりよっぽど辛かったのに…
あの時…オレはオレの話ばっかり…


「でも…だからって…
なんでわざわざオレのトコに…
青柳さんと…?」


「はは…っ。わかんねぇの?」


「…っ。」


またガキ扱いされ、
オレは誤魔化すように珈琲を飲んだ。


「まぁ…それはあいつなりに
色々あんだろうけど…」


…?


青柳さんはそれ以上話さず、
煙草の火を消した。


「これ以上はオレから言えねぇよ。
あとは如月本人に聞くんだな。」


「でも…」


「なんだ?
わざわざオレのトコまで来たくせに、
もう弱腰か?」


「でも…そんな辛い想いしてたのに…
オレ…」


「そ〜んなコト言ってんなら、
オレがほんとにもらっちまうぞ?」


「な…っ⁈」


「はは…っ(笑)
あいつ、仕事落ち着いたっつってたし、
今日はもう家帰ってんじゃねぇの?
オレ、そろそろ行かねーと。
如月によろしくな。」


青柳さんはそう言うと席を立った。



あ…






伝票持ってかれた。







最後までスマートな青柳さんに、
大人の余裕を感じ、
オレはちょっと嫉妬した。







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