第20章 -年上-(黄瀬涼太)**★
「キミは…優しいんだね。」
オレが話し終えると、
その人はそう言って立ち上がり、
ブランコに座ってるオレの頭を撫でた。
「…っ⁈」
オレは思わず赤面してしまい、
その人の手を払いのけてしまった。
「あ…ゴメンね。なんだか急に
こうしてあげたくなっちゃったの。」
苦笑いしたその人は、
慌てて手を引っ込めた。
「いや…その…
イヤだったわけじゃ…ないッス…」
ただ、女の人に
そんなことされたコトがなかったし、
ちょっと戸惑っただけ。
どっちかっていうと、
オレはいつもする側だった。
すみれっちにもしたっけ…。
からかうとき…励ますとき…
なんだかんだ
青峰っちがらみの時が多かったな…
「…?なに思い出し笑いしてるの?」
「…っ⁈してないっス‼︎」
オレは無意識に笑っていたらしい。
「してたよ〜♪」
「してないっス‼︎」
「ウソ〜!してたよ〜!」
「しーてーなーいーっス〜‼︎」
「しーてーたー‼︎……あははっ(笑)」
言い合いをしていると、
その人は急に笑い出した。
「あはは…なんかツボっちゃった。
ははっ…止まらな〜い(笑)」
「笑い過ぎっス‼︎」
「あはは…ゴメンゴメン…(笑)」
オレが拗ねて言うと、
謝ってはいるけど、まだ笑っていた。
こっそり盗み見たその人の笑顔は、
さっきの泣き顔より可愛らしかった。
「そういえば…」
「…ん?」
オレは大事なコトを一つ思い出した。
「お姉さんが泣いてた理由は…?」
「…っ⁈」
笑いが収まりかけていたその人に
聞くと、
その人は一瞬ビクッとしたが、
返ってきたことばは、
オレの質問への答えではなかった。
「お姉さんて…キミは、
わたしのコト、
いったいいくつだと思ってるの?」
ふふ…と笑いながら、
オレを見つめるその人は、
さっきまで泣いていた人とは
別人のように思えた。
コロコロ表情が変わる…。