第20章 -年上-(黄瀬涼太)**★
「なんで…泣いてるんスか⁇」
「えっ…⁈」
涙を流していたブランコの先客は
女の人だった。
オレは気がついたら話しかけていて、
ブランコの先客は
ビックリしたように顔をあげた。
やっぱり泣いていたようで、
月明かりに照らされている
頬にうっすら涙の跡が付いていた。
泣いているからには
悲しいコトがあったからだと思う。
でも、不謹慎かもしれないけど、
その顔がキレイだと思ってしまった。
「……新手のナンパ?」
涙を手で拭いながら、
深いため息をつき、
不思議そうにジッとオレを見て、
ブランコの先客の女の人が言った。
「は⁈」
声掛けただけでなんでそうなるんスか…
「あ…違うか。キミも…泣いてる…
ココ…キミの泣き場所?」
「あ…いや…っ…。」
オレが慌てて涙を拭うと
その人は弱々しく微笑みながらも、
クスクス笑いながら、立ち上がった。
「占領しちゃってゴメンね。
わたしはもう大丈夫だから、どうぞ♪」
「いや…そういうわけじゃ…」
「じゃ…。」
「待って…‼︎」
その人は軽く会釈をして、
その場から離れようとしたが、
オレは思わずその人の手を掴んでいた。
「…っ⁈な…なに⁇」
さすがにビックリしたのか、
その人はオレの手を振り解こうとした。
「なんで…泣いてたんスか⁇」
オレはもう1度聞いた。
「なんで…って…
キミには関係ないでしょ?放して?」
その人はオレをなだめるように
少し口調を和らげた。
「じゃぁ‼︎オレの話聞いて‼︎」
「え…⁇
…
……
………
あははっ‼︎変なの〜!
うん!わかった!いいよっ!
お姉さんが
話を聞いてあげようじゃない♪」
今思うとあの時なんでこの人を
こんなにも引き止めたのかわからない。
なぜだかわからないけど、
オレはこの人に話を聞いてほしかった。
「じゃ、どうぞ?」
その人はさっき座ってたブランコに
オレに座るよう促し、
自分はその横に座った。
「いや…こっち座ってください。」
そこはすみれっちの…貴方の席…
オレは勝手にそう思っていて、
ブランコを交換した。
「え…?うん。
で?キミはなんで泣いてたの?」
オレは会ったばかりのその人に
すみれっちのコトを話した。