第19章 -誤解-(宮地清志)***
「ぜんっぜん自覚してねーよ。
わかんねーの?
こっちは散々ガマンしてんだよっ。」
「宮地…?あの…えっと…」
わかっていたコトだけど…
抱き締められると、
宮地の大きさを改めて実感する。
わたしなんかスッポリ隠れてしまう。
わかっていたコトだけど…
宮地は…男のコだった。
「風呂上がりで来るし、
谷間見えるはなんだか甘い匂いするわ…
無防備にオレの前に座るし…
つぅか、そんなんで、
風呂から廊下歩いて、
誰かに会ったりしなかったのかよ⁈」
「高尾と緑間とすれ違った…かな」
「あいつら…‼︎轢く‼︎」
「えっ⁈なんでそうなるの⁈」
宮地の顔を見ようとするけど、
宮地に抱き締められていて、
顔をあげられなかった。
「つぅか、話戻すけど…」
「…?うん。」
「裕也のTシャツなんか着るな…」
「へ…?」
「なんで裕也の番号のTシャツなんか
着るんだよ…」
「裕也の番号?」
たしかにウチのTシャツは、
それぞれの背番号も
Tシャツにプリントされていた。
「8番以外…着るな。」
ん?
んん?
「あはははっ。」
わたしは思わず笑ってしまった。
「な、なんだよっ⁈」
「ゴメンゴメン。
宮地、可愛いんだもん。」
「はぁ⁈」
宮地はわたしを抱き締める力を緩め、
わたしの顔を見つめた。
「やっぱり宮地可愛いっ♪」
今度はわたしが宮地を抱き締めた。
「お…おいっ!」
そうなってくると、
抱き締めるだけで困惑している
宮地すら可愛く感じた。
「もう着ないよ?」
わたしは宮地を見つめた。
「…っ⁈」
「宮地と話せなくなっちゃうの…
ヤダもん。」
「…それだけかよ?」
わたしのことばに、
宮地は少し不満げだった。
「それだけだよ?
でも、それだけでも、
わたしにとっては
すごい重要なコトだもん。」
「…?」
「今日…宮地が話してくれなくて…
わたし、どうしようって、
すごい不安だったんだよ?」
わたしは正直な気持ちを
素直に宮地に伝えた。
「お前さ…?ほんとにそれだけ?」
「…へ⁇」
「オレはもっと…
こういうコトしたいんだけど…?」