第19章 -誤解-(宮地清志)***
「…っ⁈ざけんなっ!
お前、埋めんぞっ!」
…っ⁈
宮地のことばに、
思わず手をはなしてしまう。
なんで…⁇
なんでそんなこと言うの…?
目を見て話せと自分で言ったクセに
わたしは宮地から目をそらし、
俯いてしまった。
宮地も何も言わない。
しばらく沈黙が続いた。
「……はぁ。」
沈黙を破ったのは宮地だった。
「すみれ…お前さ…」
「…?」
宮地の声でわたしは少し顔をあげた。
「そんな格好で男の部屋来んなよ。」
「は…⁇」
宮地の言ってる意味がわからなくて、
わたしは顔をあげた。
恐らくとんでもないマヌケ面で…。
”そんな格好”って言われても、
普通のTシャツと短パンだ。
ちゃんとブラもしてるし、
透けないヤツ選んでるし、
短パンだって、ピタッとしてたり
カワイイのじゃなくて、
なんの変哲もないヤツだし、
極度に短いわけでもない。
「(はぁ…コレだから自覚ないヤツは…)
谷間…見えてんだよっ。」
「えっ⁈」
とんでもない宮地のことばに
思わず胸元を押さえるが、
胸元が見えないかも、
ちゃんと確認してたのに…。
「お前はわかんねーかもしんねぇけど、
お前よりデカいオレらからだと、
上から覗けんだよっ。」
…っ⁈だから、さっき木村も…。
「の…覗かなければいいじゃん‼︎
別に今更女扱いなんか…」
「アホか‼︎刺すぞっ!
普段女扱いしなくても、
それでもお前は女なんだよっ。
しかも、その格好で
風呂上がりで来やがって…」
「ご…ごめんなさい。」
宮地の剣幕に驚き、
思わず謝ってしまったが、
いまいち納得できない。
「…お前、謝ったけど、
なんのことかわかってねぇな?」
…。その通りです。さすが宮地…。
「わたしはたしかに女だけど…
一緒に部活やってて…
女だけど…わたしだよ?
前の合宿のときだって、
コレ着てた時あったし…
それで皆でトランプとかしたじゃん。」
そうだ。
今日初めて着たわけでもないし、
なんで今日に限って…。
「はぁ…。
あん時、ジャージ貸しただろ?」
…たしかに。
暑かったのに、やたらしつこく
宮地がジャージを着せたがり、
渋々着たような…。
「…っ⁈あの時も⁈」
「…あぁ。
お前の場合服だけじゃねーけど。」