第19章 -誤解-(宮地清志)***
トントン…。
民宿の部屋だから、
ホテルみたいなこじゃれた
カードキーやインターフォンはない。
ご飯のあと、
お風呂でジックリ考えて落ち着いてから
わたしはお風呂あがりに
宮地と木村の部屋に直行した。
ガチャ…。
「…っ⁈おう…来たのか。
(はぁ…また宮地キレんぞ…)」
「…?うん。宮地…いる?」
木村は一瞬変な顔をして、
わたしから目をそらした。
宮地、そんなに機嫌悪いのかな。
「まぁ、入れよ。宮地!客〜!」
「は⁇誰だよ…っ⁈」
「…ども。」
木村の後ろから部屋に入ると、
宮地は怪訝な顔をして、
明らかにわたしから目をそらした。
「檜原がお前に話あるって。
オレ風呂行ってくっから。」
「は⁈ちょっ…おい!待てよ!
ふざけんな‼︎」
木村は宮地のことばを無視して、
そのまま行ってしまった。
…気まずい。
でも、話さなきゃ。
もう布団が敷いてあり、
宮地は布団の上に座っていたので、
わたしは宮地の枕元に、
宮地と向き合うように正座した。
「宮地…。」
「…なんだよ?」
宮地の声のトーンが低い。
やっぱり怒ってる。
でも、なんで⁇
朝は普通だったのに…。
「なんてゆぅか…その…」
ことばが続かない。
チラリと宮地を見上げると、
やっぱりむすっとした顔をしている。
何を話せばいいんだろう…
どうしようっ…
「用がないなら、帰れよ。」
宮地がそっけなく言う。
…
……
………プツン。
自分の中で何かがキレる音がした。
そう思うと同時に、
わたしは一気にまくしたてた。
「用があるから来てるんでしょ‼︎
だ…だいたい、何怒ってるの⁈
今日の帰りからずっと…
わたしのこと無視してるし!
大坪と木村に聞いたけど、
よくわからないし!
言いたいコトあるなら、
ちゃんと言ってよ‼︎
わたし、何かした⁈」
「別に無視してねーよ。」
怒ったように宮地が言う。
「ウソ…‼︎」
「ウソじゃねーよ。」
宮地はわたしの目を見ない。
「じゃあ、なんでちゃんと
わたしを見てくれないの⁈
わたしの目を見て話してよ!」
それでも宮地はわたしを見ない。
わたしは思わずグイッと
宮地の両腕を掴んで、
わたしのほうを向かせた。