第2章 -百合-(氷室辰也)★
-ゆりなside-
辰也くんにまた会いたいな。
あれから1週間。
気づいたら、
そんなことばかり考えちゃってた。
学校はわかってるから、
陽泉に行けば会えるかもしれないけど、
そんなの迷惑だし…。
第一恥ずかしい。
「おいっ。霧島っ。集合だぞー。」
「えっ⁈きゃっ。すみません。」
部活中までそんなこと考えて、
ぼーっとしていたら、
香山先輩に首根っこ掴まれて、
引っ張られていた。
「来週、陽泉と練習試合を組んだ。
いいか、前回の予…」
「やったぁっ!!
あ…すみません。
えっと…監督…続きを…。」
思わず監督のことばを遮って、
歓声をあげてしまった。
皆が一斉にわたしを見る。
「やけに気合入ってるな、霧島。
予選では、無得点という
最低な結果に終わった。
だが、そこでお前達は
立ち止まっていたわけではない。
その後の練習の成果を
今度の試合で見せつけるんだ。」
うん。そうだよ。
辰也くんに会えることは置いといて…。
ウチは…もちろんわたしも、
あの悔しさを忘れたわけではない。
その悔しさをバネに
皆頑張ってきたんだから。
でも…やっぱり会えるとなると…
嬉しいな。