第18章 -初恋-(青峰大輝)**
図書室に
本を返しに行かなきゃいけないのは、
本当だったけど、
万が一青峰くんに会ったら、
かなり気まずいし、
わたしはそのまま図書室で
勉強するコトにした。
ちょっとでも集中が途切れると、
青峰くんのコトばかり
考えてしまいそうになるけど、
そこはなんとか自分自身を
コントロールして、勉強を続けた。
が、わたしはそのまま
途中で眠ってしまっていたらしく、
気がついたら窓の外は
だいぶ薄暗くなっていた。
ふぁ…ねむ…
って、ヤバ…今何時なんだろ…
ガラッ……
図書室のドアの開く音がした。
まだ生徒がいる時間ではあるらしい。
ふと遠くのドアのほうを見ると、
本棚の影に見覚えのある姿を見つけた。
…っ⁈
青峰くん⁈⁈⁈
なんで図書室に…⁈
わたしは思わず青峰くんに頭を向け、
また机に突っ伏して、寝たふりをした。
気まずい…気まずすぎる…。
図書室なんか1番青峰くんに
縁のない場所なのに、
なんで今日に限って…⁈
早く帰って……‼︎
そう思うのに、
足音はどんどんこちらに近づいてきた。
どうしようどうしよう…
キュッと目を閉じて、
必死で寝たふりをした。
「すみれ…」
…っ⁈
わたしの横まで来た青峰くんは、
わたしの名前を呼ぶと、
そっと頭を撫でてくれた。
思わず反応しそうになるけど、
今更起きるのも変だし、
そもそも恥ずかしくて、
どんな顔して青峰くんと話せばいいのか
わからない。
「………怒鳴って悪かったな。」
…チュ。
…⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈
キ…キス…⁉︎
なん…で⁈
目を閉じたままだけど、
わたしの心はドキドキが止まらない。
青峰くんは、
もう1度わたしの頭を撫で、
図書室から出て行った。
ガラッ…バタン…
ドアが閉まる音を確認してから、
ゆっくり目を開け、
そっと自分の唇を触る。
夢じゃない…。
青峰くんはわたしにキスをした。
中1のときの、
間接キスとはわけが違う。
なんでキスしたの?
青峰くんの気持ちが、
わたしにはどうしてもわからなかった。