第18章 -初恋-(青峰大輝)**
「…っ⁈…ってぇなぁ‼︎」
「…ヘンタ〜イ。」
膝枕するとだいたいこうなる。
青峰くんはいつも胸を触ろうとするが、
わたしはいつも阻止する。
1度も触らせたコトはない。
「…ったく。
たまにはいーじゃねぇかよ。」
それと…
青峰くんがこういうコトをする時は、
いつも話をそらしたい時…。
あんな試合…
全中の試合でキセキの皆がしたコト…
わたしには理解できない。
最終戦は、わたしも応援に行って、
試合をこの目で観ていた。
今でも信じられない。
「”あんな試合”って…
青峰くんはそう思ってるの?」
いつもなら、
さっきのトコで話をやめるけど、
今日はなんとなくやめられなかった。
「は⁈別に…どぉでもいいだろ?」
「よくないよ。だって…あんな…。」
「すみれ、
おまえ何が言いてぇんだよ?」
青峰くんが睨んできて、起きあがった。
「だって…あんなの、
青峰くんらしくないよ…!」
「は⁈オレらしいってなんだよ⁈
本気でやったら、誰も相手になんねぇ!
あんな試合やっても、
オレら5人、わんさかスカウトくんだぞ⁈
皆認めてんじゃねーかよ‼︎」
ビクッ…‼︎
「でも、本気でやって勝つのと、
あんな勝ち方…やっぱり違うよっ‼︎」
「…っ⁈
オレのコトなんも知んねーくせに!
偉そうなコト言ってんじゃねーよ!」
わたしを睨みながら、
凄みのある口調で青峰くんが話す。
怖くて思わず泣きそうになってしまう。
「わかんないよ…あ…青峰くん…
何も言ってくれないもん…
でも…あんなの…あんなの‼︎
わたしの………⁈」
わたしの好きな青峰くんじゃない…
そう言ってしまいそうだったけど、
そのことばは飲み込んだ。
その代わりに感情が高ぶって、
涙が溢れてきてしまった。
「…っ⁈」
「…っ⁈あ…ゴメ…」
「おいっ!」
「あ、わたし、図書室に
行かなきゃいけないんだった。
そろそろ行くね。」
わたしは慌てて涙をぬぐい、
できるかぎりの笑顔で、
青峰くんから逃げるように、
屋上を離れた。