第18章 -初恋-(青峰大輝)**
「じゃ、”すみれ”でいいよな!」
…っ⁈
二カッと笑う青峰くんに、
わたしは思わず目を奪われた。
「…⁇
(珍しい…大ちゃんから女のコに…)」
「いいか、すみれ‼︎
さつきはな、
たーだーのっ!幼なじみだ!
そんだけ!付き合ってねぇから。
さつきなんかと付き合ったら、
ぜってぇめんどくせぇよ。」
「ひどーーい‼︎
大ちゃんなんか
こっちから願い下げだよっ!」
”まだ”付き合ってないということは、
よーくわかったけど、
2人のやりとりを聞いていて、
付き合うのも時間の問題かな…
って、思った。
なぜだかチクンと胸が痛かった。
「あ!お昼休み、時間なくなるよ。
早くお弁当食べよ!」
「ほんとだ〜。」
時計を見て慌ててフォークを持ち直し、
さっき落としたハンバーグを取り、
口に入れようとし…
…パクッ。
「おっ!うまーっ♪」
…⁈
「あー‼︎大ちゃん‼︎もうっ。」
突然手首を掴まれたと思ったら、
わたしのハンバーグを
青峰くんが食べてしまった。
……………⁈
「お前の母ちゃんのハンバーグ、
すげぇうめぇな!」
「残念でした〜♪
すみれは自分で作ってるんだよ〜♪」
「マジ⁈すげー!
って、なんでさつきが
偉そうなんだよ?」
これって…間接キス…⁇
「すみれ、どうしたの?」
さつきが顔を覗き込んできた。
「あ…えっと…
おなかいっぱいになっちゃって。」
「マジ⁈じゃ、くれよ!」
「え?あ…。」
わたしが返事をする前に
青峰くんは食べ始めていて、
あっという間に完食してしまった。
「ごちそうさまっ!
マジうまかったーー!
また腹いっぱいの時は
オレが食ってやるから。」
キーンコーンカーンコーン…♪
「やべ!予鈴だ!
じゃ、またな!すみれ!
あ、さつき、部活遅れんなよ〜。」
そう言いながら、青峰くんは
自分のクラスに戻って行った。
たかが間接キス…
そう思うのに、わたしはずっと
フォークを見つめていた。
わたしと青峰くんの出会いは、
それこそ恋が始まりそうな、
思い返すとちょっとこそばゆい
甘酸っぱい出会いだった。
案の定、わたしはあっという間に
青峰くんのコトを好きになった。
初恋…だった。