第17章 -友達-(福井健介)
「えっ⁈福井まで緊張して、
怖がってたら困るよ⁈」
「いや、怖くねーって。
そういう意味じゃねーよ。」
はぁ…いい意味で気が抜けんな。
「つかさ、オマエ…」
「ふ…福井っ!あれ…っ!」
ヒュ〜ヒュ〜と変な音と共に、
火の玉のような光が、
廊下のあちこちに浮いていた。
「いや、あれ、ライトだろ?」
「うん。でも…」
すみれがさらに強く、
オレの手をギュッとしてきた。
…っ⁈
「大丈夫だって。」
オレもさりげなく握り返し、
そのまま歩を進める。
「あ、えっと…
今何か聞こうとした?」
「ん?あぁ…。
オマエさ、去年の肝試しのあと、
劉となんかあったの?」
「え?なんか…って?」
「いや…まぁ…なんつぅか…
オマエら、噂になってたし…な。」
去年、肝試しのあと、
劉とすみれが付き合い出した…
と、噂になっていた。
劉がオレから略奪したっつって。
もしくは、すみれの二股…。
オレとすみれは、
1年の頃から仲がいいせいか、
付き合ってると思ってた奴もいた。
仲良いだけで、
付き合ってなんかねーんだけど。
「え?なにもないよ?
わたしと劉だよ〜?
てか、そんな噂あったの(笑)?
だって、わたしと…劉?あはは…♪」
怖がってたはずのすみれは、
何がツボったのか、
笑い転げていた。
「何がそんなにおかしいんだよ?」
「だって肝試しが
ペアだったくらいで、
わたしと劉…が…(笑)?
じゃ、岡村はどうなるのよ?
岡村の時もそんな噂になってたの?」
「いや、岡村ん時はなかったな。」
「でしょ〜?」
すみれはリラックスしたのか、
オレを引っ張るように
最後の階段をのぼった。
「んじゃ、今年は?」
階段をのぼりきり、
オレはすみれの手を握ったまま、
暗闇の頼りない明かりの中で
ジッと見つめて聞いた。
「福井…?」
オレはそのまますみれを
抱き寄せようとした。
…が、
「きゃあぁぁぁっ!オバケっ‼︎」
オレが抱き寄せる前に、
すみれが抱きついてきた。
「うおっ⁉︎なんだ⁈」
さすがのオレもちょっとビビった。
やたらデカい変な影が3つ、
ボワッと廊下に広がっていた。