第16章 -保健室-(青峰/宮地/赤司)
ど…どういうこと…⁉︎
なんで…キス…⁉︎
「すみれが悪いんだよ?」
またあの…切ない表情で、
赤司くんはわたしを見てきた。
「他の男なんかに運ばれて…」
「え…っ⁈」
「いくら倒れたとはいえ…
なんで他の男なんかに…」
…⁈
今日の赤司くん…そればっか…。
「もしかして…あの…ヤキモチ⁇」
「…っ⁈」
初めて赤司くんが少し赤くなった。
か…可愛いっ‼︎
「ボールには…気をつけます。」
「そうしてくれ。」
「今度は…赤司くんが運んでくれる?」
「オレ以外の前で倒れるな。
例え教師とはいえ、次は許さない。」
「そんな怖いこと言わないの。」
なだめるようにわたしは言った。
「怖い?当然のことだろう?
すみれはオレのものだよ?」
…っ⁈
当たり前のように言う
赤司くんのことばに、
わたしは呆然としてしまった。
「どうかしました?」
…⁇
赤司くんがまた少し
柔らかくなったような気がした。
「さっきから…
”オレのものだ”とか…言うから…」
「ダメですか?」
「な…なんで…⁇」
「好きだから。
それ以外に理由がありますか?」
「え…っ⁈」
「好きですよ?すみれさん。」
ふっ…と微笑んだ赤司くんは、
またわたしにキスをした。
「寝顔も可愛いけど…やっぱり
起きてるほうが可愛いですね。」
…っ⁈
わたしはもう何も言えなかった。
「それより…」
「え…⁇」
「ズルイな。さっきからオレばっか。
すみれさんの気持ちも
そろそろ聞かせてもらえますか?」
「あ…っ…えっと…」
赤司くんは真っ直ぐな瞳で
わたしを見つめていた。
赤司くんのほうがズルイよ…。
わたしの気持ち…気づいてるくせに。
「わたしも…好き…。」
「よく言えました。」
赤司くんは満足げに言うと、
わたしをギュッと抱き締めた。
「すみれ…好きだよ。
すみれはオレのものだ…。」
赤司くんの腕の中で
とても幸せな気持ちだったけど、
わたしの中で小さな疑問が
ずっと気にかかっていた。
赤司くんの雰囲気が変わる
あの感じはなんだろう…?
でも…どちらの赤司くんも好き。
どこか不安になる自分もいるけど、
その気持ちは本当だった。
---End---