第15章 -内緒-(黄瀬涼太)
黄瀬くんは、少し眠そうな
とろんとした目で
ジッとわたしを見つめてきた。
み…見てたの…バレてたの⁈
「き…黄瀬くんこそ…
授業聞かなくていいの?」
そう言うのがやっとだった。
「黄〜瀬〜‼︎やっとお目覚めかぁ?
毎回毎回おまえはなぁ。
こないだの小テストも3点て
どういうことだ⁈」
起きた黄瀬くんに気づいた先生が
怒りながら黄瀬くんの前まで来た。
「先生っ!
何も点数までバラさなくても〜!」
黄瀬くんの反応に、
クラスから笑いが起きた。
「檜原!おまえ、隣のよしみで、
黄瀬に英語教えてやれ!
次の小テスト50点以上目標な。」
「ちょっ…先生⁈なんでわたしが…」
「寝てた黄瀬を起こさなかったからだ。
目標達成しなかったら、
黄瀬も檜原も課題出すからな〜。」
先生がそう言うと、
ちょうどチャイムが鳴り、
先生は教室を出ていってしまった。
「黄瀬くん!どぉするのよ⁈」
「どうもこうも…よろしくッス☆
すみれっち!」
はぁ…。
あの笑顔で言われたら断れない…。
って、「すみれっち」ってなんだろ?
とにかく3点を50点にしなくちゃ…。
「黄瀬くん!
これからお昼休みと部活前、
図書室に集合だから!
ぜーったい50点!ううん。
90点は取らせるから!!」
やるからには目標は高く…。
放課後は部活や
モデルの仕事もあるだろうし、
休み時間だけで
なんとか頑張らないと…。
「了解っス☆」
次の日から勉強会が始まった。