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〜Mint Candy Story〜

第15章 -内緒-(黄瀬涼太)


「転校生の檜原すみれさんだ。
皆仲良くするように。」


担任の先生に紹介されると、
教室がざわめいた。


「檜原すみれです。
よろしくお願いします。」


3学期早々…中途半端な時期…
当然といえば当然の反応か。


わたしは笑顔で挨拶したけど、
心の中ではそんなことを考えていた。


「じゃ、檜原の席は、黄瀬の隣だな。
廊下側の後ろだ。」


ザワザワザワッ…


…っ⁈
紹介された時よりも
教室がさらにざわめいた。


な…なに…⁈


とりあえずわたしは、
担任に言われた席に行った。


「隣っスね☆
よろしくお願いしまっス☆」


「あ…はい。こちらこそ…」


キラーンシャラーンという効果音が
聞こえてきそうな挨拶…。
まぁ、それが合わない顔でも
ない…のかな。
キレイな子犬みたいというのが、
黄瀬くんに対する第一印象だった。


あとから聞いたら、
黄瀬くんは
けっこう人気のあるモデルらしい。


どうりで、
なんの反応もしないわたしに
訝しげな表情をしていたはずだ。


それに教室の
あのざわめきの意味もわかった。


わたしは中1の時から
アメリカにいたため、
黄瀬くんのことは知らなかった。


それでも、人懐こい黄瀬くんは、
いつもわたしに話しかけてくれたので、
わたしはあっという間に
黄瀬くんの虜になっていた。


黄瀬くんが好き。
そう思ったけど、誰にも言えなかった。


ただでさえ、
モデルで人気があるのに、
バスケもうまいらしい。


ハードルが高すぎる。
クラスメイトとはいえ、芸能人だし。
きっと少し物珍しくて、
憧れているだけだ。


ファンになっただけ…。


うん。そう思うことにした。


とはいえ、
やっぱり黄瀬くんが気になり、
気がついたら
黄瀬くんを見てしまっていた。


黄瀬くんは大抵の授業は寝ている。
黄瀬くんの寝顔を独り占めできるのは、
隣の席の特権だ。


まつげ…長いなぁ。


そんなことを思いながら、
よく盗み見をしていた。


でも、ある日の英語の授業中、
いつものようにわたしが
黄瀬くんを眺めていると、
突然黄瀬くんがパチッと目を開けた。


「いつも…こっち見てるんスね。
授業…聞かなくていいんスか?」

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