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〜Mint Candy Story〜

第2章 -百合-(氷室辰也)★


2人でカフェの角の席を陣取り、
向かい合って座る。


話していたら、同い年だとわかった。



「同い年なら敬語はやめないか?」


「はい…あ、うん。」


オレの提案に、彼女は
顔を赤くして頷いてくれた。


「”ユリナ”ってどんな漢字なの?」


「え…?ひらがな…だけど。
あ、そういえば、さっきなんで、
”ゆり”って…?」


「あぁ。咄嗟に出てしまったんだ。
特に意味はないよ。
強いて言えば好きな花の名前かな。」


オレは少しだけウソをつく。
本当は初恋の人の名前だった。


「わたしの名前…ひらがなだけど、
名前の由来は百合の花言葉なの。」


「花言葉?あぁ、たしか百合は…
”威厳”とか”純潔”とか”無垢”だっけ?」


「すごい…。詳しいんだね。」


「好きな花だからね。
どれもゆりなにピッタリだ。
男に注意している時は威厳があったし、
あんな危なっかしいことをするなんて、
無垢すぎる…。」


純潔かどうかは…
さすがにわからないな。



ゆりなを見つめて言うと、
彼女はまた赤くなる。
本当に面白いなぁ。



「何色の百合が好きなの?」


「色?百合って白のイメージだけど。」


「百合の花言葉、
色によって色々意味が違うの。
白はさっきの花言葉だけど、
百合でもピンクだと
”虚栄心”とか”思わせぶり”とか。
黄色は”不安”とか…ね。
色によって変わるから…
ちょっとキライなの。」


「へぇ。知らなかったな。
でも、やっぱりゆりなは白だな。
肌も白いし…。
さっきの行動も花言葉とピッタリだ。」


「さ、さっきのは関係ないってば。
あれは我慢できなかっただけで…。」



コロコロと表情の変わる
ゆりなは面白い。


オレはつい見つめてしまう。


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