第14章 -告白-(虹村修造)★
-ひかりside-
「ごめんね〜。
せっかく”王子さま”と話してたのに
邪魔しちゃって〜。」
「だから…王子さまじゃないって。」
音楽室に向かいながら、
親友の悦子にからかわれた。
「でも、ひかりだって”お姫さま”って
1、2年の間で呼ばれてるらしいよ。」
「…⁈なにそれ⁈」
「だって、虹村くんとひかりが
有名になったキッカケは、
やっぱりあのお姫さま抱っこだし〜♪」
「あれは…脚ケガしてたからで…。」
運動会の借り物競争で
【コスプレ着てる可愛い人】
というふざけた札を
取ってしまった虹村くんは、
応援団でコスプレを着ていた
わたしの所に来てくれた…
までは普通の話だけど、
色々あって、
お姫さま抱っこでゴールした。
しかも、そのお姫さま抱っこは、
学校新聞の一面にまで載り、
わたしと虹村くんは
一躍時の人となった。
「虹村くんだって、ウチらの間では
王子さまって呼ばれてるし♪
やっぱり皆発想は同じなんだね〜。」
妙に納得したように
悦子はうんうんと頷いている。
「虹村くんに迷惑だよ…。」
お姫さま抱っこも
学校新聞の一面も
わたしは嬉しかったし、
正直1人で舞い上がってたけど、
運動会の後も虹村くんは、
わたしに対して
まったく態度が変わらなかった。
「あ!後ろまだ空いてる♪」
音楽室は自由席。
音楽室に着いたわたしと悦子は
1番後ろの窓際の席を陣取り、
小声で話を続けていた。