第12章 -兄弟-(宮地裕也)
「すみれっ!うっせーぞっ‼︎」
「あぁっ‼︎みゆみゆっ‼︎」
突然兄キが騒ぎ出した。
「兄キ!うっせー‼︎なんなんだよ?」
「きゃあっ♡」
兄キはうっせーし、
すみれは顔赤くして
興奮してると思ったら、
みゆみゆが
若手俳優に壁ドンをされていた。
「くっそ〜‼︎あいつ‼︎
オレのみゆみゆに〜っ‼︎」
「きゃあっ♡ドキドキしちゃうね♡
かっこいいーっ!」
「くだらねぇ…」
オレはどさっとソファに座り直した。
「ねぇ、2人は壁ドンしたことある?」
「「はぁっ⁈」」
オレと兄キは思わずハモっていた。
「だって2人ともモテるし…
あ、でも、2人とも背が高すぎるか。」
すみれはオレと兄キを交互に見ながら、
1人で納得していた。
「お前はされたことあんのかよ?」
ジッとすみれを睨みながら
言ってしまったが、
すみれはオレが睨んでも動じない。
「ないよ〜。どんな感じなのかな。
ね、清志くん、やってみて〜!」
「は⁈お前、何言ってんだよ‼︎」
なんですぐ兄キに振るんだよ…。
兄キにされたかったのか…?
すみれは兄キに言ってるのに、
つい、オレが反発してしまった。
「じゃ、裕也くんがやってくれる?」
「はっ⁈それこそなんでだよ⁈」
「すみれ、ちょい、そこに立て!」
…っ⁈
それまで黙っていた兄キが
急に立ち上がった。
「清志くん、やってくれるのー?」
「可愛いすみれが言うならなぁ。」
兄キはオレのほうを向いて、
ニヤリとした。
ぜってぇワザとだ…。
壁際に行ったすみれの前に兄キが立つ。
すみれはちょっと顔を赤らめていた。
「やっぱ…ちょっと怖いかも…」
「なんで怖いんだよ?オレだぞ?」
兄キは不敵な笑みを浮かべ、
すみれに近づいていった。
「おいっ!アニ…⁉︎」
オレは思わず立ち上がりかけたが、
兄キはすみれの頭を
ポンポンとだけして、
すみれから離れた。
「すみれ?そういうことは、
ちゃんと好きな奴に頼むんだな。」
「…っ。
好きな人はやってくれないもん。」
「ははっ♪ぜってぇやると思うぞ?」