第12章 -兄弟-(宮地裕也)
毎年恒例の檜原家との正月の宴会…
つか、親たちが飲みたいだけ。
今年もすみれの家でおせち食って、
親たちが酔っ払ってきたトコで、
すみれと兄キとウチに避難した。
リビングで正月特番を見てたら、
兄キが急にチャンネルを変えて、
アイドルの特番にした。
「おっ!みゆみゆじゃん♪」
「兄キ、録画してんだろっ⁈
今の見てたんだよっ!」
兄キのチャンネル権の横暴さはひどい。
「あぁん⁈
録画してリアルタイムでも見るのが、
真のみゆみゆファンなんだよっ!
裕也、轢くぞっ!」
「あぁっ⁈ふざけんなっ‼︎
だいたい兄キはな…○×◎△◀︎…‼︎」
「裕也くんっ!ことば汚い〜っ。
2人とも、新年早々やめようよ。
ほら、清志くん!みゆみゆだよ!」
オレらがこうなると、
いつもすみれが間に入る。
すみれは兄キをなだめ、
兄キの隣に座った。
「おっ!ほんとだ!
振袖似合ってんなぁ♪」
「うん!みゆみゆ可愛いねー♪」
さっきまでオレの隣にいたのに、
面白くねぇな…。
兄キも機嫌が直っていた。
「すみれさぁ、
自分がみゆみゆに似てるって
言われるからって、
みゆみゆ可愛いとか言ってね?」
「え?そうなの?」
「あー。お前、ちょっと似てるよな。
部活で髪アップにしてる時とかさ。
まぁ、すみれは昔から可愛いしなー♪」
そう言って兄キは、
すみれの頭をポンポンとした。
「ほんと?やったー!
可愛いって言ってくれるの、
清志くんだけだよ。」
「ウソつけっ!」
2年の間でも、すみれは人気があった。
兄キとデキてると思ってる奴もいるし、
なんつぅか…
オレとデキてると思ってる奴もいるから
そこまで告白されてないらしいが。
「ウソじゃないよー。
裕也くんは言ってくれないもん。」
「は⁈なんでオレが…」
「ふ〜んだ!裕也くんて、
昔からすみれのこと褒めないもん。
ちょっとくらい…
お世辞でもいいのにー。」
「なんでガキんちょすみれを
褒めなきゃなんねぇんだよ。」
「ひどーい!」
「ははっ‼︎
すみれ〜それはしかたねぇよ。」
「なんで〜?」
「兄キ!うっせーよ‼︎」
「えー?清志くん、なんでなんで〜?」