第11章 -夜空-(今吉翔一)
-Christmas Eve-
〜檜原すみれ〜
翔ちゃんと付き合うことになって、
初めてのクリスマス。
一緒に過ごせないのは淋しいけど、
同じ大学を受ける予定だし、
来年、一緒にクリスマスを過ごすために
今年は受験勉強を頑張らなきゃ‼︎
そう思って予備校の授業の後、
自習室で勉強して帰った。
夜空を見上げながら帰ったけど、
今日は残念ながら1日中くもりで、
きっと出ているはずの三日月も
雲に隠されて見えなかった。
残念だな…。
翔ちゃんと見た
商店街のイルミネーションで
淋しさを紛らわし、家に帰った。
「ただいま〜」
「おかえり〜
すみれに宅急便届いてるわよ?」
「ん〜?何かネットで買ったかな…」
「翔一くんから♪」
「えっ⁈」
それを先に言ってよ‼︎お母さん‼︎
わたしはダッシュで部屋に入った。
机に小さな箱が置いてあった。
急いで開けると、
中にはマフラーとカードが入っていた。
”Merry Christmas‼︎
風邪ひかんようにな!”
カードを見て思わず笑ってしまった。
同じだね…翔ちゃん♪
カードとマフラーを取り出すと、
カタンと音を立てて、
たたまれたマフラーの間から、
小さな箱が転がってきた。
…?
その小さな箱を開けると、
小さなカードが入っていた。
”くもりでも雨でも見られるやろ?”
カードをそっとどけると、
三日月の形のネックレスが入っていた。
翔ちゃん‼︎
わたしはネックレスを付けると、
いてもたってもいられなくなり、
翔ちゃんに電話した。
プルルル…ッ
「もしもし?」
すぐに聞き慣れた翔ちゃんの声がした。
「翔ちゃん‼︎あのね‼︎」
わたしはネックレスを握り締めた。