第11章 -夜空-(今吉翔一)
「忘れてへんけど…
やっぱ隣で見たいと思っただけや。」
「翔…ちゃん?」
ギュッと抱き締め、
すみれの感触を確かめる。
すみれの体温を感じた。
「あいつ…」
「え…?」
「岡本くんと付き合うてたんか?」
「……付き合ってないよ。」
…‼︎
「一瞬、間があったな。」
ワシは腕の力をスッと抜き、
すみれを少し放した。
「付き合ってないもん!
こ…告白は…された…けど…」
…っ‼︎
そうか…岡本くんなぁ…告白なぁ。
あんな高校からのポッと出の男に
先を越されたかと思うと情けないな。
「告白してきた男と
クリスマスパーティーするん?」
「…断ってたでしょ?
それに2人きりじゃないし、
クラスの友だちたくさんとの話だよ?
わたしは…」
わかっとる。
わかっとるが、すみれの口から、
はっきり聞きたかっただけや。
岡本くんと付き合ってない
岡本くんとパーティーはしない
あとは…
「わたしが好きなのは…ずっと…」
「ちょい待ち。
その先聞くんはワシが言うてからや。」
そう言ってすみれの口を塞いだ。
ワシの唇を重ねて…。
「しょ…⁈」
「好きや。」
言おうと思えば、
褒めことばだって嫌味だって、
なんだってことばを飾ることはできる。
でも、すみれには
シンプルなことばだけで十分だった。
唇をはなし、すみれを見ると、
涙目でワシを見上げとった。
「わたしも…好き。」
すみれがギュッと抱きついてきた。
ワシは緩めた腕の力を入れ直し、
さっきより強く抱き締めた。