第11章 -夜空-(今吉翔一)
-Christmas Eve-
〜今吉翔一〜
部屋で勉強していたら、
すみれから電話がかかってきた。
すみれの嬉しそうな慌てた声に、
ワシは自分のサプライズが
成功したことを感じた。
「マフラー、ありがとうな。」
自分のベッドのほうを見て、
すみれが先を言う前に礼を言う。
ワシのベッドには、
すみれが送ってくれた
マフラーが置いてあった。
”Merry Christmas‼︎
風邪ひかないようにね。
翔ちゃん、大好き♡”
ワシとまったく同じメッセージの
カードを添えて…。
ま、すみれのが一文多いけどな♪
「おんなじだったね。
翔ちゃん‼︎三日月‼︎見えたよ‼︎
翔ちゃん、ありがとう‼︎
すんごく嬉しい!」
すみれの嬉しそうな声を聞き、
会いたくなってしまった。
「あぁ。
でもな〜ワシは見えへんのや。」
「あ…ごめんね。
おんなじじゃなかった…」
ワシの本音が声にこもったんやろな。
すみれはシュンとしてしまった。
「おんなじじゃなくてえぇねん。
その代わり後で写メ送ってな?」
「写メ?」
「ネックレスしてる写メや♪」
「えっ⁈」
「えぇやんか〜。
ワシかて見たいんやで?」
「そうだけど…でも…」
ワシのために送りたい…
でも、恥ずかしい…
そんな困惑してるあやめが、
見えへんのに、
手に取るようにわかる。
「そんでな、胸元も開けて、
セクシーな感…」
「翔ちゃん‼︎そんなの、
絶対送るわけないでしょ‼︎」
「ははっ。せやな。
じゃ、普通のなら、えぇやろ?」
「…うん。」
「今、”うん”て言うたな?」
すみれはワシの引っ掛けに気づかず、
”普通のなら”写メを送ると、
承諾していた。
「あっ‼︎翔ちゃん、ズルイ‼︎」
「なにがや?」
「もぅ。わかったよぅ。」
はぁ…今、めっちゃ
可愛い顔してんのやろな。
「すみれ?」
「なぁに?」
「好きやで。」
電話を切って暫くすると、
三日月のネックレスを付けて、
はにかんだ笑顔の可愛らしい写メが
送られてきた。
すみれ…あと少しや。
受験勉強頑張ろうな。
Merry Christmas!
---End---