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〜Mint Candy Story〜

第11章 -夜空-(今吉翔一)


「ねぇねぇ、諏佐くん達は元気?
今日連れてくればよかったのに。」


「なんや、ワシだけやと不満か?」


今回は3連休のうち最初の2日間、
こっちの学校と合同練習があった。
諏佐たちは今日東京に帰ったが、
ワシは実家に帰るため、別行動やった。


東京出身のすみれは
親戚や友だちがいるので、
ワシが東京に行ってからは、
長期休みのたびに
ワシにも会いに来とったから、
諏佐と若松には会うたことがあった。


「そうじゃないよ。
でも、諏佐くんは夏に会えなかったし…
青峰くんも会ってみたかったなぁ。」


よりによって青峰かいな。


「青峰は会わんくてええわ。」


「なんでー?」


ワシはすみれの質問には答えず、
チラリとすみれの体を盗み見る。
今はコートに隠れているが、
すみれが女らしく成長していること、
ワシは気づいていた。
青峰には絶対会わせられんわ。


「あのすごいプレイする人が
どんな人か見てみたかったし、
普段のこと聞いてると
ギャップがありすぎなんだもん。
見てみたかったんだけどなぁ。」


メールや電話で連絡を取り合う中で
青峰の話もしたことがあり、
すみれは突拍子もない青峰の話を
いつも面白そうに聞いていた。
ウチの試合のビデオを
1度すみれに見せた時に
『青峰くんのファンになりそう(笑)』
と、笑いながら言っていたので、
それ以来青峰の話はあまりしていない。


そもそもワシかて同じ試合に出とるのに
青峰ばかりに注目されては、
こっちは面白くもなんともない。


「でも、やっぱり
翔ちゃんがいればいい♪」


…⁈


すみれは昔から絶妙なタイミングで、
ワシの気持ちをコントロールする。
面白くなかった気持ちが
すみれの一言で一気に晴れた。


「今更持ち上げても何も出ぇへんで?」


「翔ちゃんのひねくれ者〜。
たまには素直に喜んだら〜?」


「考えとくわ。」


「もう。あ、商店街ね、
イルミネーション始まったよ。」


商店街に差し掛かると、
すみれが嬉しそうにワシの腕を引いた。


「変わらんなぁ。」


昔から変わらない
商店街のイルミネーション。
東京の大きな街のイルミネーションとは
比べ物にならないが、
それでも懐かしくて、嫌いやない。

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