第10章 -理想-(火神大我)*★
-現在-(火神side)
神社まで着いて、
藤宮んちまで行くか迷っていたら、
神社の入り口に篠崎が来た。
オレはジャージのまんまだったけど、
篠崎は私服だった。
デニムのショートパンツに
ピンクのチェックのネルシャツ…
初めて見る私服にドキッとした。
やっぱり最近のオレ…変だよな。
こないだからこいつのこと、
可愛いと思って、頭から離れない。
つか、電話した勢いで来たけど、
何話せばいいんだ…⁈
火神
「おう…。元気かよ?」
みつば
「…?元気だよ。
それはさっきメールで言ったよ。」
…‼︎
相変わらず口が減らねぇなぁ。
火神
「あ…挨拶がわりだよっ。ったく。」
みつば
「火神…ゴメンね。」
火神
「…なにがだよ?」
みつば
「火神のこと…無視しちゃったり…。」
篠崎は、生意気な態度から一転、
急にうつむいてしおらしくなった。
火神
「こないだのことなら気にしてねぇよ。
だから、そんな謝るな。
オレはくだらねぇ話でいいから、
今までみたいに
おまえと話せれば…それで…」
みつば
「う…ん。」
それでも篠崎は顔をあげなかった。
まぁ、普通に前向いてるだけじゃ、
オレはこいつの顔が見れねぇんだけど。
みつば
「か…がみ?あのね…」
篠崎がやっと顔をあげた。
…っ⁈
火神
「なんで急に可愛い顔で見んだよっ⁈」
みつば
「えっ⁈な…っ⁉︎」
火神
「は…っ⁈いや…その…っ。」
薄暗いとはいえ、
街灯や神社の明かりがあり、
篠崎の顔はハッキリ見えていた。
だからって…。
ふいに見上げられて、
オレは思わず本音が口から出ていた。
みつば
「か…火神こそ…どうしたの?」
真っ赤になってる篠崎が、
やっと口を開いた。
火神
「よ…よくわかんねぇんだけどっ。
最近おまえが可愛く見えんだよっ。
悪ぃかよっ。」
みつば
「わ…悪くない。」
篠崎は真っ赤な顔したまま、
顔をあげ、まっすぐオレを見た。
みつば
「あのね、わたし…火神のこと…
好きになっちゃったみたい。」
火神
「は…っ⁈あ…いや…好きっ⁈」
今、こいつ、好きっつったか?
オレのこと…?!