第10章 -理想-(火神大我)*★
結局宮地たちには会わなかったが、
オレ達は一緒に帰った。
「なんだかごめんね。」
「は⁈なんだよ、急に…」
「こないだから、
火神には変なトコばっか
見られちゃってるし…。
今日なんか清志くんに…」
「いいって別に。
宮地になんかそうそう会わねぇし。」
「…ごめん。」
「だーかーらーっ!謝んなって!
お前らしくねぇぞ!」
「らしくないって…あ…雨…?」
篠崎の声に空を見ると、
ポツポツ雨が降ってきていた。
どんどん強くなってきた。
夕立ちか…?
「おいっ。とりあえず走るぞ!」
カバンを頭に乗せて走っても、
結局たいして変わんなかったが、
とりあえず公園の
屋根のあるベンチのトコまで走った。
「はぁ…大丈夫か?」
「はぁ…はぁ…火神…速すぎ…」
「お前が遅すぎなんだろ?」
そりゃオレのが速いか…
と思いつつも口では反対のことを
言ってしまう。
「やむかなぁ…」
そう言ってベンチに座り、
自分のハンドタオルで
篠崎は濡れた腕や首を拭いていた。
…っっ⁈
オレもTシャツがびっしょり濡れたが、
オレが濡れてるっつぅことは、
篠崎も濡れてるわけで…
篠崎の制服のブラウスから、
ピンクの…ピンクの下着が透けていた。
やべぇっ。ドコ見てりゃいいんだ⁈
慌てて篠崎に背を向けると、
こんな時に限って篠崎が話かけてくる。
「火神ー。どうしよっか?」
「わ、わかったから!」
「なにが?」
バサッ……
「それ掛けとけっ!」
「きゃっ。…タオル?」
オレは今日使わなかった、
大きめのスポーツタオルを投げつけた。
「え…?でも、火神が…」
「まだあるから。」
オレは今日使ったやつを取り出した。
つか、なんで渡したのに、
こいつ、手に持ったままなんだよ⁈
「あぁっ‼︎もう!こうだよこうっ!
肩に掛けて胸隠しとけっ!」
いてもたってもいられず、
オレは篠崎の手からタオルを奪い、
篠崎の肩からタオルを掛けた。
「胸…⁉︎やっ…。」
ようやく気付いた篠崎は、今更叫んでいた。