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〜Mint Candy Story〜

第10章 -理想-(火神大我)*★


-回想-(練習試合後)




「火神と付き合ってるの。」


呆然と篠崎を見つめるオレに対し、
篠崎は完璧な笑顔を宮地に向けていた。



「おい…火神…。」


「…あ⁈なんだよ⁈」


急に呼ばれて我にかえった。
男のオレが見ても、
こいつ、イケメンだよな。
そのイケメンがオレに凄んでいた。


「お前…本気なんだよな?」


な…⁈いや…本気もなにも…
こいつはお前のこと…


「あぁ。」


オレは返事をできずにいたが、
オレの腕を掴む篠崎の手が、
また震えていたのに気づいて、
思わず返事をしてしまった。


「…そっか。」


宮地は少し安心したように
篠崎のほうを見たあと、
またオレに向き直った。


「火神!こいつのこと大事にしろよ!
みつばはオレの
大事な妹みたいなもんだ。
みつばになんかあったら、
お前、埋めに行くからな。」


顔に似合わない物騒なことを言うと、
宮地は行ってしまった。


「はぁ…。ごめんね、火神。」


力の抜けたような篠崎は、
スッとオレの腕から離れた。


腕に残る篠崎の温もりが、
なんだか少し淋しい。



「宮地だったんだな。」


「あはは…うん。
ちなみに、清志くんの彼女は、
わたしのお姉ちゃん。」


「はぁ⁈」


思いもよらなかったことを、
篠崎はなんでもないように言う。


「わたしが入り込む余地はないのも
わかってたんだけどね、
ほら、妹って言ってたし…」


篠崎はさっきからずっと笑っていたが、
ずっとあの作り笑いだった。


「お前、荷物そんだけ?」


「荷物…?うん。」


「じゃ、ちょっと待ってろ。
オレも部室に荷物取ってくる。」


「え…?」


「一緒に帰んだろ?」


ムリしてる篠崎を見てらんなかった。


「でも、それは…」


「その辺でまた宮地に会った時、
一緒にいねーとおかしいだろうが。」


「…うん。」


それもあったが、
本当はただ篠崎をほっとけなかった。


今1人にしたら、
なんか危ない気がしていた。



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